2023 Fiscal Year Research-status Report
下顎骨欠損と下歯槽神経損傷に対する骨神経組織同時再生医療確立のための革新的研究
Project/Area Number |
22K10231
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
荒木 惣子 (鈴木惣子) 日本大学, 医学部, 研究医員 (50897890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 成宏 日本大学, 医学部, 研究医員 (00510364)
篠田 健太 日本大学, 医学部, 研究医員 (10897888)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 顎口腔組織 / 骨再生 / 神経再生 / デュアル組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔外科臨床においては、埋伏智歯抜歯や顎骨嚢胞をはじめ多くの疾患で手術による硬組織の欠損と下歯槽神経損傷を生じることが少なくなく、骨再生と末梢神経再生を両者治療可能な最良な治療法が望まれている。最も簡便に採取できるヒト口腔粘膜組織幹細胞を用いて口腔外科手術後の硬組織ならびに神経組織のデュアル組織再生のための革新的基礎研究を行うことを目的に実験を行っている。しかしながら、ヒト口腔粘膜では骨芽細胞分化、神経細胞分化ともに分化が可能であるが、歯髄細胞と比較すると硬組織形成細胞への分化能には乏しい(S. Abe et al., Cell Prolif 2022.)。そこで、われわれはエピジェネティックの修飾をコントロールするヒストン脱アセチル化酵素阻害薬であるバルプロ酸(VPA)や脱メチル化剤である5-アザシチジンを用いてより上位の幹細胞への脱分化または誘導が可能かを検証した。まず、各種化学物質の濃度による細胞毒性を評価し、至適濃度を決定した。各化学物質または両者を加えた培養により多能性幹細胞マーカー(Oct-4, Nanog, Klf4, Sox2, Nestin, AP2A, NGFR)をはじめとする幹細胞生物学的検討を行ったが、より上位の幹細胞への誘導は生じていないことが判明した。次にWntのアゴニストであるCHIR99021を添加することで、細胞形態が変化することを見出した。これらの細胞から、骨芽細胞分化誘導実験を行うが、明らかに分化誘導可能な化学物質の組み合わせは認められなかった。現在は、プロトコールを改良して、ある程度骨芽細胞分化を行ってエピジェネティックの修飾に関与する化学物質やCHIR99021ならびに各種成長因子を用いて骨芽細胞分化と神経細胞分化の至適プロトコルの作製が可能かどうかを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
過去の報告と同じように、エピジェネティックの修飾にかかわるヒストン脱アセチル化酵素阻害薬や脱メチル化剤を用いて実験を行っているが、従来の報告のように多能性幹細胞マーカーの発現上昇などは認めなかった。併せて分化誘導実験においても有意な分化傾向を示す所見は見出すことができなかった。 現在は、今までの報告にない新たな骨芽細胞ならびに神経細胞分化プロトコルの作製に従事しており、時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
改良型の分化誘導では骨芽細胞分化や神経細胞分化はともに分化しているが、成長因子などを用いて有意に分化可能なプロトコルを開発する。 in vitroでの分化誘導実験プロトコルが確立できれば、免疫不全マウスへの移植実験を行う。移植実験はわれわれの今までのプロトコルでTissue Engineering的手法を用いて、植後12週後に移植組織を採取して脱灰切片を作成し、HEならびにMasson Trichrome染色ならびに免疫染色を行い定量的に評価する。
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Causes of Carryover |
必要試薬に関しては、実験遂行に伴い支出した。購入希望の試薬が残高よりも高額のため、次年度に繰り越してその試薬の購入を行うことにしたため、次年度使用額が生じてしまった。
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