2023 Fiscal Year Research-status Report
歯肉退縮の新規治療を目指した創傷治癒性マクロファージの解析
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22K10237
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸岡 亮 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (30826946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 和美 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10396715)
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60443397)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マクロファージ / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
マクロファージをヒアルロン酸存在下で培養することにより、VEGFを高発現するM2d様マクロファージに分極するという結果を受けて、これを説明するメカニズムの一端を解明することを目的に、マウス脾臓由来マクロファージにおけるヒアルロン酸に対する受容体の検討を行った。一般的なヒアルロン酸受容体であるCD44の、マウス脾臓由来マクロファージにおける発現を確認するために、マクロファージ全体のマーカーであるF4/80およびCD44に対する蛍光標識抗体で細胞を二重蛍光標識してFlow cytometryによる解析を行った。その結果、F4/80陽性細胞、すなわちマクロファージのほとんどでCD44が陽性であった。次に、CD44のmRNA配列に対して特異的なsiRNAを作製し、これをマクロファージに導入してCD44をノックダウンした。その結果、ヒアルロン酸存在下の培養条件において、Ym-1、Arginase、IL-10などのM2マクロファージマーカーはコントロール群と比較して低下し、VEGFの発現も低下したことから、マウス脾臓由来マクロファージにおいては、CD44がヒアルロン酸の受容体として働くことでM2d様のマクロファージに分極することが示された。 また、口腔粘膜の欠損を生じるモデルとして、マウス顎骨壊死モデルの作製法を検討し、ビスフォスフォネートの一種であるゾレドロネート投与と、歯牙の結紮による炎症・感染惹起の影響を組織学的に解析した。その結果、ゾレドロネート投与と結紮の両者を行うことで、粘膜修復が不良となることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マクロファージ分化法が確立され、そのメカニズムの一端も明らかになっている。また、動物モデルの確立も進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔粘膜の欠損を生じるモデルとしてのマウス顎骨壊死モデルについて、粘膜修復が不良となるメカニズムを明らかにする。すなわち、細胞死の様相をアポトーシスやネクロプトーシスの指標となる分子に対する免疫染色などで明らかにするとともに、マクロファージの出現や分極状態などについても組織学的な解析を行う。 また、調製した脾臓由来M2d様マクロファージを、粘膜欠損モデルや皮膚欠損モデル、あるいは骨欠損モデルなどに投与することで、その組織修復効果を明らかにする。
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Causes of Carryover |
旅費の支出がなく、若干の次年度使用額が発生した。 次年度は消耗品あるいは旅費などに充てる予定。
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Research Products
(1 results)