2022 Fiscal Year Research-status Report
顎顔面領域におけるエピジェネティックな見地からみた上皮間葉ネットワークの解明
Project/Area Number |
22K10240
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東堀 紀尚 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (50585221)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | エピジェネティック / 上皮間葉相互作用 / ヒストンメチル化酵素 / 顎顔面発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
口唇裂・口蓋裂をはじめとする先天性疾患には、遺伝要因と環境要因との相互作用によって発症する多因子疾患が多数存在する。近年、がんを始めとした疾患の発症メカニズムとして環境要因によるエピジェネティックな変化が報告されているが、顎顔面領域における先天性疾患とエピジェネティックな制御機構との関連の報告は少ない。一方、顎顔面の正常発生において、神経堤細胞の増殖・分化のみでなく、それを取り囲む上皮細胞からのシグナルも同時に重要であると報告されている。本研究は、上皮細胞特異的にヒストン修飾酵素Setdb1をノックダウンさせ生じた顎顔面の発生異常の発症メカニズムを解析することにより、上皮細胞におけるエピジェネティック制御機構が間葉細胞へ与える影響を解明することを目的とし、研究を行っている。 初年度は、歯の形成異常に対し、組織学的手法、マイクロCT、電子顕微鏡を用い、形態解析を行い以下の所見を得た。上皮細胞特異的にSetdb1をノックダウンさせたマウスはコントロールマウスと比較し、1)内・外エナメル上皮の伸長とエナメルノット形成の遅延を認め(胎生15.5日齢以降)、エナメル芽細胞の分化も遅延していた(生後7日齢)。2)臼歯咬合面に著しい咬耗を認め、エナメル質の低石灰化が疑われた(生後1ヶ月齢)。3)生後7日齢の臼歯歯胚の上皮成分において、Msx2、Med1、AmelogeninのmRNA発現量が有意に減少していた。また、次年度に予定しているRNAseq用の準備をすすめている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度予定していた表現型解析が順調にすすみ、次年度予定しているRNAseqの準備まですすめることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、予定通り、1)ターゲット遺伝子の網羅的解析、2)網羅的解析結果の検証、3)SETDB1によるターゲット発現制御の解明を行う。
|
Causes of Carryover |
本年度はマウスの飼育数を制限して研究を行ったため、当初予定していた使用となった。今年度はRNAseq, またその検証のため、現状より多くのマウス、試薬、外注費が必要と考えている。
|