2022 Fiscal Year Research-status Report
オゾン水の歯科医療環境感染予防対策実用化に向けた研究
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22K10290
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
渡辺 朱理 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (80585026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 憲治 岡山大学, 保健学域, 教授 (00243460)
玉木 直文 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (20335615)
松山 美和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (30253462)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯科医療環境 / スマートフォン / 汚染状況 / 清掃方法 / スプレー型オゾン水 / オゾン水殺菌効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科医療環境の感染予防対策の整備および充実のため、本研究では、歯科医療従事者が注意しなければいけない汚染箇所を調査し、さらにスプレー型オゾン水生成装置から直接噴霧できるオゾン水の歯科医療環境整備での有効性について検討することを目的として研究を行う。そこで、2022年度は以下のような成果を得て、引き続き研究を継続している。
1.歯科医療従事者が所持するスマートフォンの汚染状況、及び有効な清掃方法をATP測定法と細菌培養検査を用いて検証した。タッチパネル側と把持する側を調査部位とし、清掃には、ドライシート(DS)、ウェットシート(WS)、さらにアルコールシート(AS)を用いた。その結果、スマートフォン清掃前は、おもて面(平均2,408RLU)、裏面(平均4,800RLU)ともに汚染度が高く、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、バシラス属などが検出された。DS、WS、AS清掃後は、全てのシートで各面のATP測定値は有意に減少し、特にWSでの汚染減少率が最も高かった。 2.スプレー型オゾン水生成装置から直接噴霧できるオゾン水のオゾン濃度の持続時間を測定した。オゾン水50mL、10mLともに、スプレー型オゾン水生成装置で生成できる最大濃度である5ppmが10分持続した。また、殺菌レベルである1ppm濃度を、オゾン水50mLでは、90分持続でき、10mLでは、40分持続することが可能であった。 3.皮膚や粘膜の常在菌であり、ヒトの手指に存在しやすいStaphylococcus aureus, S. epidermidisを用いてスプレー型オゾン水生成装置から直接噴霧できるオゾン水の殺菌力について調査した。普通寒天平板培地に塗抹した結果、5ppm濃度のオゾン水を用いて培養した培地からコロニーは検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、臨床における歯科医療環境中での調査に規制があったため、今年度予定していた臨床現場でのエアロゾル飛散汚染に対するオゾン水の消毒清掃効果についてはまだ検討できていない。しかし、スプレー型オゾン水生成装置から直接噴霧できるオゾン水の酸化力、殺菌力については、研究分担者と研究協力者と協力して進めることができた。医療従事者が所持するスマートフォンからは、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、バシラス属などが検出され、タッチパネル側より把持する側の方の汚染度が高いことが認められた。清掃にはウェットシートでのふき取り清掃に効果があることがわかった。また、スプレー型オゾン水生成装置から直接噴霧できるオゾン水の濃度は、殺菌レベルの濃度が長時間持続することが認められた。特に病院内環境中で医療器具や医療用具などを介して広まることが多い皮膚や粘膜の常在菌であるStaphylococcus属に対して、オゾン水の酸化力、殺菌力の効果があることも実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を基に、次年度以降は、1)今年度の病原細菌種に対するオゾン水の酸化力・殺菌力の検証を基に、院内感染原因菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に加え、口腔内細菌叢の大半を占めるレンサ球菌種を用いてオゾン水の酸化力、殺菌力の効果を検証する。2)歯科医療環境中に発生するエアロゾル飛散汚染に対するオゾン水の清浄度調査を行い、消毒清掃効果についても併せて検討し、歯科衛生管理への適用に繋がる研究を今後も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルス感染症の影響により歯科医療臨床現場での調査に規制があったため、臨床歯科医療環境中に発生するエアロゾル飛散汚染に対するオゾン水の消毒清掃効果についての検討を次年度に調査することとなり、次年度使用額が生じた。
(使用計画)翌年度分として請求した研究費とあわせて、歯科医療臨床環境におけるオゾン水の消毒清掃効果調査で使用する消耗品の費用に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)