2023 Fiscal Year Research-status Report
放射線防護のピットフォールを埋める!~医療における職業被ばく管理の充実化~
Project/Area Number |
22K10435
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小山内 暢 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (40514138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 幸清 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (10214967)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 職業被ばく / 放射線防護 / ピットフォール / 水晶体線量 / 散乱X線 / 線量評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、文献整理や学術集会への参加等により、解決すべき放射線防護における「ピットフォール」の洗い出しを継続して行うとともに、顕在化したピットフォールの解決策を検討した。 現在、職業被ばく管理における眼の水晶体防護の重要性がうたわれている。医療スタッフの水晶体線量は頸部に装着したバッジ式線量計によって推定されることが多いことは昨年度の報告のとおりであるが、今年度は、眼と頸部の高さの違いによる線量の違いを把握するために、透視装置を用いて床に垂直な面の空間線量評価を行った。その結果、オーバーテーブル式とアンダーテーブル式のどちらの場合も、眼に比べ頸部位置の線量は大きく、頸部に装着したバッジ式線量計による水晶体線量評価では、過大評価となる可能性が示された。また、放射線防護メガネによる遮蔽効果も考慮する必要があり、この点についても検討を行う必要がある。 加えて、昨年度明らかとなった患者以外から発生する散乱X線についても検証を行った。透視装置においては、X線管の可動絞りカバーからの散乱X線も無視できないものと考えられたため、当該カバーに対して自作の遮へい体を設置した状態での散乱X線測定を行った。遮へい体の設置によって、X線管付近の空間線量が低下したたけでなく、医療スタッフの眼の高さの空間線量も低下した。X線管カバーに対する対策の有用性が示唆されただけではなく、散乱X線の発生源に対する措置の重要性が改めて確認できたため、放射線防護メガネ等の個人防護具による防護策と併せて検討する必要があると考えられた。 さらに、水晶体等価線量限度の引き下げ後における職業被ばく管理の実態調査を行ったため、今後、調査結果の解析を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、ピットフォールの洗い出しや検証を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線防護におけるピットフォールの洗い出しを継続的に行いながら、それぞれのピットフォールに対する検証や改善策の提案を行う。また、得られた知見については、研究成果の公表を積極的に行う。
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Causes of Carryover |
参加した学術集会等にはオンライン開催となったものがあるため、旅費が不要となり次年度使用額が生じた。この予算を用いて、今後、より精緻な研究を遂行する予定である。
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Research Products
(7 results)