2023 Fiscal Year Research-status Report
全国の産婦人科医師の過酷な労働環境に対する働き方改革の進捗と課題に関する実証研究
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22K10436
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
石川 雅俊 東京医療保健大学, 未登録, 総合研究所 特任教授 (40739166)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 医師の働き方改革 / 産婦人科 / メンタルヘルス / タスクシフト |
Outline of Annual Research Achievements |
産婦人科を標榜する全国1170病院を調査対象として、2023年11月、産婦人科の責任者及び医師宛てに調査依頼票を送付、質問紙法によるWebアンケートを実施し、1187人から回答を得た。産婦人科における医師の働き方改革の進捗状況や医師の労働時間とメンタルヘルスの関係性、タスクシフトに関する意向と進捗状況について、調査を行う事ができた。以下に、研究成果の一部を紹介する。 過労死水準である年間の時間外労働時間が960時間以上と考えられる医師が27%(前回調査では66%)、同1860時間以上の医師が5%(前回27%)、月5回以上当直をしていた医師が42%(前回53%)、当直明けは通常勤務である割合が50%(前回76%)と減少傾向がみられた。 前回調査結果と比べて、長時間労働の医師数が明らかに減っている。その背景にはタスクシフト等の医師の働き方改革が進んだことが考えられる一方で、当時は浸透していなかった「医師の自己研鑽」を労働時間に加えない点や、従来は労働時間とみなされていた時間が、宿日直許可の取得が進んだ(本調査で取得済が55%、今後取得予定が14%)事で、休息時間という取り扱いとなった点が影響している可能性がある。 産婦人科医師の様々な業務について、他の職種へのタスクシフトが医師の労働時間短縮に一定程度寄与することが期待される。本調査では、タスクシフトをすべき行為と考えられているものの、まだなされていない行為が明らかになった。今後、医療機関において、タスクシフトができない理由を確認し、他職種の協力を得ながら、タスクシフトを進めていく事が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査アンケートのとりまとめは終了しており、現在、学術論文発表に向けた準備を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、学術論文を取りまとめているところであり、一部の論文は、既にアクセプトされている(未発表)。また、国内外の学会での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
論文取りまとめや学会発表(旅費を含む)についての費用を次年度に持ち越した事から、次年度の使用額が大きくなっている。2024年度は、本研究に関連して、査読付き学術論文が5本、国際学会での発表が1回、国内学会での発表が1回、既に決まっており、研究費を使用する予定である。
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