2022 Fiscal Year Research-status Report
抗菌薬適正使用を目指した偏性嫌気性菌の耐性拡散機構の解明
Project/Area Number |
22K10486
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
田中 香お里 岐阜大学, 糖鎖生命コア研究所, 教授 (20242729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 将大 岐阜大学, 糖鎖生命コア研究所, 助教 (20646385)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | Bacteroides / Prevotetlla / 薬剤耐性 / ベトナム / 日本 / 適正使用 |
Outline of Annual Research Achievements |
東南アジアの国々では抗菌薬の家畜への使用や処方箋無しでの購入など、適正使用が困難な状況にある。耐性伝播が高頻度に起こりうる腸管の主要な構成菌群である偏性嫌気性菌のベトナムにおける耐性因子保有状況については情報が無く、本邦でも健康成人の腸内細菌叢由来菌について精査した報告はない。Bacteroidesと近縁の菌群に多いと考えられるConjugative transposon(CTn)は、より広範な耐性因子の拡散に関与する可能性があるが、近年の実態は把握されていない。本研究では、ベトナムおよび日本の健康成人便由来Bacteroides属の耐性の動向、耐性因子保有状況を明らかにし、これらの対比から環境要因との関連を考察すること、分離菌の全ゲノム解析からCTnの分布と耐性因子の拡散との関連を考察することを目的とする。 R4年度についてはベトナムおよび日本の健康成人から分離したBacteroides属について、薬剤感受性試験を実施し薬剤耐性率および各株の薬剤耐性プロファイル、主要な既知耐性因子保有状況を調べた。また、近縁のPrevotellaの国内臨床分離株についても検討した。臨床材料の最優勢菌種であるB. fragilisは、健康成人由来株では少なく、両国とも上位の優勢菌種は同様で既報と照らして妥当な菌種構成であり、解析対象の菌群として常在菌叢を適切に反映していると考えられた。これら分離菌の耐性のパターンは両国で類似していたが、piperacillin、cefmetazole、clindamycin、tetracycline系薬の耐性率はベトナム株で有意に高かった。日本株についてこれら4剤に対する耐性率を日本の臨床分離株(B. fragilis以外のBacteorides)と比較すると、cefmetazoleの耐性率は同様であったが、他の薬剤では糞便由来株でより高い傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画での想定よりも分離株数が多く、一部の株について実施する予定であった全ゲノム解析対象株の絞り込みと解析には至らなかった。しかし、時間と労力を要する薬剤感受性試験と主要な耐性遺伝子の検索については、予定どおり進捗し、研究の土台となるデータが蓄積できたため、概ね順調と判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
糞便および感染症由来バクテロイデスおよびプレボッテラ属分離株の中で、多剤耐性、高度耐性が際立つ株や薬剤耐性プロファイル―保有耐性因子が一致しない株、について、詳細な全ゲノム解析を行う。このゲノム情報データを用いて、CTnを含む内在する耐性関連因子の種類や分布を明らかにし、糞便由来株の2国間の比較、日本人株の糞便株、臨床分離株間での比較解析を実施する。ゲノム解析で見いだされた高度耐性株の耐性に関連すると可能性があるDNA塩基配列について、分離株での網羅的検索、周辺遺伝子の検索、さらにNCBIデータベースに対する検索を行い、その分布と既知遺伝子からの変異の有無をしらべる。 こうした解析で得らえれた結果について検討し、耐性拡散機構に密接に関わるCTnや関連する耐性因子を同定し、耐性伝播の機構についての考察を進める。
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Causes of Carryover |
研究の土台となる分離株数の薬剤感受性試験と主要耐性遺伝子の検索は進捗したが、分離株数が予想外に多く、一部の株について実施する予定であった全ゲノム解析については令和4年度に実施できなかった。この部分については、令和5年度に実施する予定であるため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)