2023 Fiscal Year Research-status Report
転倒・転落防止に向けた看護実践:意思決定の過程と介入効果の探求
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22K10749
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
高瀬 美由紀 安田女子大学, 看護学部, 教授 (50437521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 陽子 広島大学, 病院(医), 主任看護師長 (10782584)
山本 雅子 安田女子大学, 看護学部, 教授 (30325378)
木佐貫 尚美 安田女子大学, 看護学部, 講師 (40880406)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 転倒 / リスク因子 / 判断 / 看護師 / Q-Methodology |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は以下の研究を行い、論文2本にまとめた(2024年度に発刊予定)。 研究目的:異なる症状を有する患者の転倒リスクを看護師がどのように判断しているか、看護師が判断するリスク因子の重要性に違いはあるか、看護師はどのように判断を正当化しているか、看護師のどのような属性が判断に影響を与えているかを検討した。 方法:研究デザインにはQ-Methodologyに基づいた混合研究方法を用いた。公立および私立の3病院に勤務する18人の看護師を対象とした。対象者には、それぞれ異なる転倒リスク因子を持つ36の患者シナリオを、転倒リスクが高いと思う順に順位付けするように依頼した。その後、順位決定の根拠を面接調査した。看護師間でシナリオの順位付けに違いがあるかどうかを調べるために、by-person factor analysisを行った。これらの相違の背後にある理由を明らかにするために、面接データを記述的に分析した。 結果:看護師は豊富な経験から得られた知識とアセスメントツールによって得られた評価に基づいて、複雑な認知操作を行いながら患者の転倒リスクを評価していた。また、看護師間で重要視する危険因子は異なり、看護師の判断は3つのプロファイルに分類できた。あるグループの看護師は、認知障害があり単独で行動する患者を高リスクと判断し、別のグループの看護師は、歩行が不安定で単独で行動する患者をハイリスクと判断していた。更に他のグループの看護師は、スリッパを履いている患者をハイリスクとみなしていた。面接調査から、看護師の判断は診療科の特徴に密接に関連していることが明らかになった。 結論:看護師は多様な文脈の中で活動し、様々な特徴を持つ患者に対して、多様な分野の専門家と協力し、異なるレベルの人的・物的資源を活用しながら看護を提供している。これらが看護師の転倒リスク判断を形成していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度の研究で得られた結果を更に探求する予定である。具体的には、より多くの看護師を対象に、異なる症状を有する患者の転倒リスクを看護師がどのように判断しているか、看護師が判断するリスク因子の重要性に違いがあるかどうか、そして、違いがある場合はその影響因子(認知バイアスの有無や診療科による特徴など)は何かを検討したい。 2025年度は、転倒リスクが高いと判断した患者に、看護師はどのような転倒防止策を選択するのか、患者や看護師の特徴によって、それらの選択肢に相違があるのかなどを研究したい。
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Causes of Carryover |
論文のオープンアクセス代として研究費をsaveしていたが、結果的には円安のあおりでオープンアクセス代(約75万円)を払えず、subscriptionベースの発刊となった。残額は今後の論文発表時のオープンアクセス代としたい。
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Research Products
(1 results)