2022 Fiscal Year Research-status Report
外来薬物療法を受けるがん患者のニーズに即した電話相談アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
22K10825
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
渡邉 千春 新潟医療福祉大学, 看護学部, 准教授 (50613428)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電話相談 / 外来薬物療法 / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、外来薬物療法を受けるがん患者のニーズに即した電話相談アルゴリズムを開発することである。具体的な目的は3点であり、1)外来薬物療法を受けるがん患者の電話相談の現状・課題とニーズを明らかにする。2)熟練看護師による外来薬物療法を受けるがん患者への電話相談プロセスを明らかにする。3)1)・2)の結果を基に、外来薬物療法を受けるがん患者のニーズに即した電話相談アルゴリズム開発をすることである。本年は、電話相談そのものが遠隔医療の位置づけられていること、国内において電話相談に関する報告が非常に少ないことから、海外での遠隔医療(主に電話相談)の実施状況や評価についての文献レビューを行った。遠隔医療はアメリカ、イギリスを中心に1990年代以降から広まったが、covid-19によるパンデミックにより全世界的に実施されていることが分かった。また対面と遠隔での医療を比較したり、遠隔医療自体の満足度について調査されているものがあり、概ね対面と変わらない、満足度の高い遠隔医療が実施されていることが報告されていた。ただ、その要因として遠隔医療はcovid-19による「ソーシャルディスタンスの確保」が 挙げられていることから、一概に判断はできない状況である。また、遠隔医療は利便性や情報アクセスの向上、通院による負担の軽減の他、遠隔(電話)だからこそ「心理的距離」が保たれ、率直に話しをすることがあるという利点がある。一方、触診等の重要な検査ができない、遠隔(電話)における専門家のケア提供の仕方(コミュニケーション等)により、患者との関係が損なわれる恐れも指摘されている。このような特徴について理解でき、改めて電話相談アルゴリズム開発の必要性が明確となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要にも示したように、国外の遠隔医療(主に電話相談)の特徴や効果、評価方法について文献レビューを行った。国外における電話相談の手法としては、ビデオ会議システムを使用したもの(つまり顔がみえるもの)と電話だけのものがある。いずれにしても電話を用いて患者や家族と話をすることになるため、看護師は対面と異なるコミュニケーションスキルが必要となることが分かった。ビデオ会議でのコミュニケーションスキルとしては、「長時間の沈黙を避ける」「目とカメラの高さを位置を合わせる」等が報告されていた。電話のみの場合ではteach-back(復唱法)が報告されていた。今回のテーマである電話相談は電話のみとなるため、引き続き電話特有のコミュニケーションスキルや電話相談プロセスに関連する文献を概観する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の電話相談におけるコミュニケーションスキルや電話相談プロセスについて文献レビューを継続する。本研究は外来薬物療法を受ける患者を対象にしているが、小児や救急等の場面で電話相談は行われているため、それらも含めて調査する。また、今後は熟練看護師を対象とした電話相談プロセスを明らかにするための研究実施を予定している。現在、対象(予定)となる施設の看護師と調整を始めた段階であり、今年度中にインタビュー調査ができるよう準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
前年度は、遠隔医療に関する文献レビューや情報収集に時間を要したことやcovid-19の影響もあり、本来実施予定だった熟練看護師へのインタビュー調査の開始が遅れてしまった。今年度は、関東甲信越にあるがん診療連携拠点病院3施設(予定)を対象に10名程度の看護師にインタビュー調査を実施する予定で準備を進めている。そのため、これから各施設との依頼や打ち合わせ、実際のインタビュー調査を行う。現在インタビューは、実際の電話相談の様子を撮影したものをみながら振り返りインタビューをしてもらう予定でいるため、それらの器材も必要となる。また、遠隔医療についてはアメリカ・イギリスを中心とした海外で多く報告されていることから、国際学会で発表かつ情報収集を行う予定である。
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