2022 Fiscal Year Research-status Report
外来化学療法におけるPRO-CTCAEを活用した看護ケアモデルの構築
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22K10831
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
荒堀 広美 徳島文理大学, 保健福祉学部, 講師 (00915829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 和也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10263815)
今井 芳枝 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10423419)
板東 孝枝 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (00437633)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ICT / PRO-CTCAE / 外来化学療法 / 乳癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物療法の有害事象を評価するツールとして、米国 National Cancer Institute(NCI)が公表したCTCAEが広く用いられているが、CTCAEは医療者が行う評価であり、患者自身の苦痛評価と差異が生じているという報告がある。この事象に対してCTCAEの要素を含めたPRO-CTCAEが開発された。しかし、CTCAEとPRO-CTCAE双方の評価間でも差異が生じることが指摘されており、患者評価を捉える難しさが伺える。特に、外来化学療法の副作用症状の把握は治療継続に大きく影響を与える情報にもかかわらず、患者と関わる時間が短く、網羅的に患者の症状を把握することは難しい。本研究は、患者が抱える副作用状況を明確化していくために、ICTを活用し、CTCAEとPRO-CTCAEの統合を診療に反映するための外来化学療法におけるPRO-CTCAEを活用したリスクアセスメントを基盤とした看護ケアモデルの構築を目的としている。特に多様なライフサイクル途上にある乳がん患者を対象とする4年計画の研究である。 1年目である2022年度は、外来化学療法におけるPRO-CTCAE活用の現状や現在の知見を把握するため、国内外の文献検討と診察、外来化学療法室にてPRO-CTCAEの有用性に関する研究を継続的に行い基礎データを作成した。例えば医療者が把握できない副作用は、呼吸困難感、動悸、不安や気分の変調といった患者の主観的な症状である。医療者が容易に把握できる副作用は、食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、便秘など化学療法で一般的に起こりうる副作用であり、治療レジメンに特徴的な副作用である。これら基礎データを基に、外来の限られた時間で、網羅的に患者の症状を把握するために必要な項目を選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目では、基礎データを作成することができた。基礎データを基にPRO-CTCAEの項目選定を行った。さらに国内外の文献検討で得られたPRO-CTCAEの活用状況に関する情報をもとに、次年度に行う質・量的研究の研究計画書を作成した。研究枠組みとしては、①患者が来院後PRO-CTCAEを使用し副作用症状をタブレットに入力する。②診察前に担当患者のPRO-CTCAEを医師が確認する。(短時間で症状を網羅的に把握する)③診察後化学療法前に化学療法室担当看護師が症状を確認する。 本研究では、多面的評価より質の高い看護ケアモデルを構築するために、患者の症状コントロールを比較することで、PRO-CTCAEの臨床適応モデルを検証する。尺度にはSelf-Care Agency Questionnaire(SCAQ)を使用する予定である。倫理審査委員会申請の準備は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
・2023年~2024年度は、外来診察側と外来化学療法室においてICTを活用した副作用症状報告の実際を調査していく。運用にあたり環境の整備を行う。実際に医師や看護師に使用してもらい使用感のインタビューを行い、日常的な使用に支障はないか、改善点などの議論を行う。 ・患者使用の実際 患者のICT活用に問題はないか、特に高齢の患者に対する器機の操作方法等の説明が必要となり、研究者間で分担して行っていく。運用していく中でPRO-CTCAEが実際に収集可能であるかどうかの検証を適宜行う。 定期的に研究者間での情報共有、意見交換を行い、臨床への適応を検証していく。
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Causes of Carryover |
今年度は、コロナ禍でもあり、参加予定学会のWeb開催や、海外の学会への参加を見合わせたため、次年度使用額が発生した。 次年度使用額については、物品費として適正に使用していく予定である。
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