2022 Fiscal Year Research-status Report
直腸がん肛門温存術後の排便障害に対する就労再開・継続のための自立支援教材の開発
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22K10884
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
水流添 秀行 東邦大学, 健康科学部, 助教 (20827018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増島 麻里子 千葉大学, 大学院看護学研究院, 教授 (40323414)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 直腸がん / 術後排便障害 / LARS / 就労 / がん / セルフケア |
Outline of Annual Research Achievements |
直腸がん肛門温存術後の排便障害に対する就労再開・継続のための自立支援教材の学習目標を検討した。検討方法には文献検討を用い、対象者の排便障害に対する心理状況および対処行動(以下、体験)を明らかにした。 文献検討は医中誌Web、pub Med、CINAHLを使用して、直腸がん(rectal cancer)、低位前方切除症候群(LARS)、体験(Narration)の3語をANDで組み合わせ、その3語に類似する言葉をORで組み合わせて検索式を作成した。文献の選定基準は、対象者の体験の質的な記述がある、原著論文である、等である。検索では731件(医中誌554件、PubMeD152件、CINAHL25件)が抽出され、最終12件を対象文献とした。文献選定のダイアグラムにはPRISMA2020声明を用いた。 結果、対象者の体験には「排便障害がある自身の受容困難」、「排便障害の症状コントロール」、「排便障害を抱えながらの他者との向き合い方」、「就労再開・継続の模索、退院後の支援確保困難」、「がん再発への不安」があった。 これらより作成する教材の目標は、①肛門括約筋温存術によって生じた身体の変化を理解する、②排便障害について対処行動がとれる、③排便障害を抱えながらも就労を再開・継続する、④排便障害に対する退院後の相談先を活用する、⑤直腸がん再発のリスクを認識し予防行動がとれるとした。また、教材には対象者の排便障害に対するセルフモニタリングを促進する内容を含める必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に実施予定であった「直腸がん肛門温存術後の排便障害に対する就労再開・継続のための自立支援教材」の学習目標が決定できたためである。当初予定していた対象者へのインタビュー調査は中止とした。その理由は、十分な先行研究があり文献レビューにより学習目標決定ができる、2023年度に実施予定の教材開発過程で対象者からも意見を聴取するため意見を教材に十分反映させることができるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
作成する教材は、対象者の利便性やセルフケアの継続性を考慮して電子媒体を用いて開発するため、専門業者に一部作業を委託する予定である。また教材を精錬させるため、直腸がん術後排便障害に携わる医療専門職、就労支援の専門職、教材を使用する当事者を対象にして教材への意見を取り入れる。それらの対象者は研究者が以前の研究で協力を依頼した施設等を中心にリクルートを検討し、期限内で研究が実施できるよう対応する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、実施予定であった研究対象者へのインタビュー調査を中止としたためインタビューに関わる謝礼等の経費が生じなかったこと、参加予定の国際学会を変更しオンラインでの学会参加をしたため旅費が生じなかったことがある。 次年度研究費の使用計画は、電子媒体の教材作成にかかる諸経費、教材作成の段階で医療者および当事者から意見を収集するための謝礼等である。電子媒体の教材作成にかかる諸経費は当初計画より増額見込みのため次年度使用額で補填する予定である。
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