2023 Fiscal Year Research-status Report
アトピー性皮膚炎患者の治癒過程における「固定化する」身体性への支援方法の開発
Project/Area Number |
22K10916
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
藤原 由子 神戸女子大学, 看護学部, 准教授 (70549138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元木 絵美 神戸女子大学, 看護学部, 講師 (70382265) [Withdrawn]
川畑 愛子 神戸女子大学, 看護学部, 助教 (60910742) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 身体性 / 慢性病 / 看護学 / 解釈学的現象学 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は先行研究のデータを分析し、アトピー性皮膚炎患者の「固定化する身体性」にはどのような特徴があるのか、その可能性を検討した。先行して行った研究データの3例を分析するなかで、11の特徴を見出した。 1)皮膚上で症状が始まったり、急に強く出たり、虫が這うかのような身体上にあり得ない感覚が起きる、2)痛覚、温度覚、触覚、音など、見ることだけではない皮膚症状の体験の仕方がある、3)症状そのものではなく、身体上に症状があることや症状が表に出ないように抑えることに気を張る、4)皮膚への直接的な刺激、身体内の興奮が体表面に伝わる、体調と肌の調子が連動するなど、皮膚状態の悪化の仕方には違った発症の原因がいくつかある、5)治ることの保証がない中で治療方法や治療技術といった腕に頼るような医師へのかかり方を求めるのではなく、患者の身になって話をよく聞いてくれる医師を求める、6)空気や水など、皮膚が外気温や気流の影響を受けることをコントロールしなければならないため、自分だけの空間が必要となる、7)病気の世界に引きずり込まれていくかのように痒みと掻くことにのたうちまわり、負のスパイラルにはまる、8)炎症が強くなっていた皮膚は痛く、汁が出るのでそのままにしておくことはできず、塗ったり貼ったり、水に浸したり手当をしながら生活上の手間や時間をかける、9)皮膚状態が悪化している状態では、他のことを考える余裕は溢れ返る気持ちの中では無理で、土台である皮膚状態が落ち着くと次のことを考えることに進むことができる、10)皮膚が肌になるときは、まるで今まで何かに憑りつかれていたかのように痛み、痒み、気持ち悪さが身体からとれる、11)身体を掻かないようにするのも、掻きやすくするのも両方、生活上には大事なことである、があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度にフィールドでのデータ収集を予定していたが、研究フィールドとしている病院のCOVID-19の感染状況が落ち着いている時期には、研究者の業務の都合でデータ収集が実施できなかった。 2024年12月~2025年3月にはデータ収集を実施しやすい環境が整うことを計画しているため、計画する時期からの開始を目指して準備を整えていく。 令和5年度に作成した、具体的なインタビューガイド指標に加え、今年度はアトピー性皮膚炎患者の「固定化する身体性」における特徴を検討することで、今後のデータ分析に備えた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年12月~2025年3月にはデータ収集を実施しやすい環境が整うことを計画しているため、すぐデータ収集を開始できるように2024年10月までに大学および研究実施施設の研究倫理審査に申請を済ませておくことを予定する。
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Causes of Carryover |
令和5年度はデータ収集を開始しなかったため、旅費、謝金、その他音声の文字反訳などの費用が発生せず、次年度使用額が生じた。 令和6年度は、データ収集のための旅費、インタビューデータの音声の文字反訳のための費用、研究協力者への謝金などの使用を計画している。
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