2023 Fiscal Year Research-status Report
「否定表明」に焦点を当てたDating Violence予防プログラムの検討
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22K10937
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
畑下 博世 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (50290482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入駒 一美 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (00849359)
西井 崇之 東京医療保健大学, 看護学部, 講師 (30796412)
鈴木 ひとみ 京都先端科学大学, 健康医療学部, 准教授 (60462008)
河田 志帆 京都看護大学, 看護学部, 准教授 (70610666)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | デートDV / 高校生 / 否定表明 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、対等な人間関係構築の基盤となりうる「自己表明」とバウンダリーのはたらきに焦点を当て、それらに関連する要因を含め、その実態について明らかにした。対象はA県内の高等学校生男女とし、4校を選定した。スマートフォンを用いてQRコードを読み込み、Microsoft Formsへの回答を求めた.調査期間は、2023年5月~2023年7月であった.回収は871人であった.性別は、男性42.4%、女性56.6%、その他1.0%であった.学年は、1年生45.6%、2年生24.1%、3年生30.3%であった.自己表明は、柴原(2004)が開発した青年期の友人関係における「自己表明」尺度を用いた。この尺度は、5因子25項目で構成され、全体の結果では、25項目中23項目で自己(他者含む)表明できると回答する者の割合が高かった。バウンダリーは、伊藤,菊池(2020)が開発したバウンダリー(自他境界)のはたらき尺度を用いた。この尺度は5因子34項目からなり全体の結果としては、34項目中多くの項目で、あてはまる/あてはまらないと回答する者の割合が同程度であった。 投影法的図を用いた自己表明の仕方では、恋人,友人,両親の3つの場面について、シュミットの葛藤処理モデル(競争、協力、回避、和解、妥協)を用いて分類した.3つのすべての場面において、競争の割合が最も高かった.それぞれ62.8、45.3%、32.9%の割合であった.この結果から、体調面において何らかの主訴を持つ生徒は、人間関係においてスキル不安を抱え、バウンダリーにおいても自分の気持ちとは裏腹に相手の主張を受け入れやすい傾向が示された。本調査ではどちらが原因かについては明らかにはならないが、体調に不安を抱える生徒の中には人間関係形成のスキルに課題がある可能性があることが明らかになった。人間関係形成については、体調面も含めて生徒の特徴を把握し、支援していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響により、当初の調査を1年遅れて開始した。その影響により分析も遅れていたが、共同研究者間の話し合いや分担調整により研究をすすめることができ、おおむね順調に進行できているのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に実施した結果及び先行研究を参考に「否定表明」に焦点を当て、スマートフォンを用いたデートDV予防プログラムを作成し、その効果を検証する。 研究者間で予防教育プログラム案を検討中であり、本年度中には完成させ、高校生を対象にプログラムを実施、その効果を検証する予定である。案;親密な人間関係における自己表明の健康教育、健全な「自己表明」とはどういうものか、アンケートの回答からいくつか例を抽出し、参考として提示していく。本研究結果が先行研究と比較して何が異なるかを明確化し、取り入れていく。1回のみのプログラムで構成し、対等な関係形成の必要性が理解できる、ということを目標にしたいと考える。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、調査が1年遅れ、それに伴い、健康教育案と実施も遅れが生じたため。 24年度は、スマートフォンを用いた健康教育プログラムのシステム構築費用が必要となる。
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