2023 Fiscal Year Research-status Report
自宅で配偶者の看取り体験をした遺族高齢者を「互助」に活かす地域ケアの創造
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22K11123
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Research Institution | Okinawa Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
大湾 明美 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 名誉教授 (80185404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂川 ゆかり 沖縄県立看護大学, 看護学部, 助教 (00588824)
野口 美和子 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 名誉教授 (10070682)
田場 由紀 沖縄県立看護大学, 看護学部, 教授 (30549027)
光来出 由利子 沖縄県立看護大学, 看護学部, 助教 (40848024) [Withdrawn]
山口 初代 沖縄県立看護大学, 看護学部, 准教授 (70647007)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 遺族高齢者 / 看取り体験 / 互助 / 地域ケア / アクションリサーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超高齢社会の多死時代に、お互い様の「互助」の活性化により地域包括ケアシステムの推進・深化するために、配偶者の死別体験をした遺族高齢者をケアの担い手として地域ケアを創造することである。方法は、参加型アクションリサーチで都市地域を研究フィールドとする。 研究プロセスの1年目は、訪問看護のケア提供者(実務者)は、配偶者の看取り体験をした遺族高齢者にどのような実践をしたかの問いを設定した。実務者は遺族をケアの担い手としての実践はしていなかった。また、配偶者の看取り体験は、配偶者に何をもたらしたかについては、死別後の経過期間と介護期間によって異なっていた。死別後1年未満では、面接にも応じられない事例が複数いた。死別後の経過期間が長くなり、配偶者の介護体験は、人生の受容と死の受容をもたらしていた。 2年目(今年度)は、遺族高齢者は同じ境遇の他者にどのようなケアが担えるかについての問いを設定し、看取り体験から3年以上で、配偶者の在宅介護を1年以上経験した研究参加候補者に絞り、面接を継続した。研究者との信頼関係を構築し、自由な語りから看取り体験の意味を言語化し、その体験を共有した。その結果、配偶者との関係性も影響していることが明らかになった。また、すべての候補者が後期高齢者であり、心身の健康状態も影響し、サポートの授受の「授けるサポート」が弱まっていた。さらに、他者のための地域貢献活動の経験を持ち合わせておらず、「ケアの担い手」への内的動機づけにはつながらなかった。 したがって、研究参加候補者の選定条件を見直す必要性に見舞われた。死別後の経過期間3年以上、在宅での介護期間1年以上に加え、配偶者との関係性が良好、健康状態が良好、地域貢献活動ありを研究参加候補者の条件に追記するとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究参加候補者の選定条件があいまいであったことから、研究参加者の選定ができずに研究の推進が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
訪問看護事業所の実務者からの研究参加候補者(遺族高齢者)の紹介は、看取り体験から1年未満の配偶者がほとんどであった。実務者は、看取りが終了すれば遺族高齢者に継続ケアをしていないこともあり、死別後3年以上経過した遺族高齢者の紹介は皆無であった。研究者が地域のセルフケア支援を実践している地区で、配偶者を看取った遺族高齢者を特定し、「お一人様のカフェ」を複数回開催したが、すべて後期高齢者で健康状態が良好でなく、地域貢献活動の経験をも有しておらず、他者のためのケアの担い手として内的動機づけが困難な事例たちであった。 研究参加候補者の選定条件が明らかになったことから、終活コーディネーターとのネットワークも活用して、ソーシャルサンプリングを行い、研究参加者を確定し、今年度の研究の問いに加え、遺族高齢者は「ケアの担い手」になることで何を獲得できるのかを明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
今年度の計画は、研究計画書を作成し、所属組織の倫理審査委員会に面接調査開始の許可を得て、研究参加者の面接を実施する。調査結果から、個別性と共通性を分析し、「互助」として他者のために活用するためのアクションプラン(案)を作成する、であった。 しかし、研究参加候補者の選定基準があいまいで、研究計画書の作成が計画通りに行かなかったため。
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