2022 Fiscal Year Research-status Report
Unraveling the neural basis of chronic low back pain: a new biomarker based on muscle synergy analysis
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22K11404
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 寛樹 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (80865410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 光 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30896832)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腰痛 / 筋シナジー / 運動制御 / 筋電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
腰痛は有症率・再発率が非常に高く、休職等により労働生産力を減少させ、 医療費の増大に大きく寄与する。しかし腰痛を起こし得る異常な運動様式については未だ明らかになっていない。筋シナジーとは筋活動の集合体のことであり、ヒトの複雑な動きの運動制御機構を反映していると考えられている。本研究では、慢性腰痛の原因となる筋シナジーを明らかにすることで病状の変化や治療効果の指標となるバイオマーカーの開発を目指すこととした。 研究初年度では、無線筋電計測システムを使用し(1)健常者において11の機能的運動課題から正常な体幹筋シナジーを特定した。結果として、5つの機能的に独立した体幹筋シナジーが抽出された。この成果は国際誌で報告した。(2) (1)で抽出された体幹筋シナジーが腰痛を生じることでどのような変容が起こるかを検討した。その結果、腰痛の特異的な運動戦略が明らかになった。筋シナジー解析は、ヒトの効率的な運動のメカニズムや脳卒中などの中枢疾患における運動制御異常の解明などで広く使用されていたものの、腰痛を代表とする運動器疾患での応用例は少なかった。今回の研究では、腰痛と非腰痛群で筋シナジーの構造を横断的に比較することで、腰痛の慢性化を引き起こす可能性のある筋活動パターンが示された。また、11の多様な機能的運動課題を用いることで伸展型や屈曲型など異なる運動方向で痛みを有する腰痛患者の異常を包括的に捉えることが可能になったと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験機材の確保、被験者のリクルートや解析などの進行が良好だったため、研究成果を国際誌に掲載及び投稿することができた。特に解析に関しては、初年度以前から既に経験していたため解析プロセスが比較的が多いのにも関わらず、問題なく実行することができた。以上を総合的に考慮し、上記自己評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の被験者リクルートは腰痛の重症度が低い患者に限定して行なった。次年度では、より重度な腰痛患者についても実験を進め、重症度や運動恐怖などの他の関連因子と筋シナジーの変容に一定の関連性がみられるのかを検討していく予定である。 また運動療法などの介入を行い、腰痛改善の程度と筋シナジーの変化(正常化)を検討することで筋シナジー解析が腰痛へのバイオマーカーとして活用できるかを検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:予定していた「無線筋電システム]購入のための支出は、円安の影響で価格が高騰したため行わなかった。そのため次年度使用額が生じた。一方、無線筋電システムは他施設からの借用で対応したため、研究の進行に影響は及さなかった。 使用計画:実験の継続及び成果発表のための学会費用と論文掲載費に使用する。
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Research Products
(3 results)