2023 Fiscal Year Research-status Report
経頭蓋直流電気刺激により改善する遷延性意識障害例の神経基盤の解明と刺激法の開発
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22K11451
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
阿部 浩明 福島県立医科大学, 保健科学部, 准教授 (30364433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 清貴 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80550152)
山口 智史 順天堂大学, 保健医療学部, 先任准教授 (20594956)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 遷延性意識障害 / 経頭蓋直流電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的]遷延性意識障害例を対象とした軽頭蓋直流電気刺激(tDSC)の効果を検証するため、医師の指示に基づきtDCSが実施された症例の実施前後の意識障害の推移を後方視的に調査した。[方法]対象はtDCSが施行された遷延性意識障害例4例である。治療効果は遷延性意識障害重症度を把握するためのスケールであるComa Recovery Scale - Revised(CRSR)を用いた。解析はグラフ理論に基づく解析にて各種構造的結合性指標を算出した。対象となった症例のtDCS実施後のCRSRの個々の変化をみた。[結果]CRSRは、症例a Baseline 13,実施後 13、症例b Baseline 20, 実施後 23、症例c Baseline 12, 実施後 18、症例d Baseline 20, 実施後 20であった。baselineからtDCS刺激後に改善がみられた症例b,cを改善群、症例a,dを非改善群として2群の脳内結合性指標を比較した。 群:初回CRSR;tDCS実施後の変化量;Strength;Clustering coefficient;Transitivity;Global efficacy;Rout efficacyの順に表記し、改善群:16;4; 1883.985; 1657.713;29.463;68.880;0.0939, 非改善群:16.5;0;3448.130;205.669;45.712;71.485;0.0525であった。 [考察]改善群ではRout efficacyにおいて高値となる傾向が見られた。一方でStrength, Clustering coefficient, Transitivity, Global Efficacyは非改善群の方がむしろ高い傾向がみられた。しかしこの結果は少数例の比較によって得られた結果であり統計学的検定は行われていない。そのためこれらの結果が事実であるかを明らかにするために継続的調査が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査実施施設における新規入院患者が予想を大きく下回り、対象症例が少ない状況である。入院患者が想定より極端に少ない要因は不明である。在宅にて生活されている患者も調査対象とすることで、調査範囲を拡大できる可能性もあるが、頭部外傷後遷延性意識障害例はコロナウイルス感染症が発生した場合に致命的なイベントが発生する可能性があり、容易に外部での調査が実施できない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き新規入院患者を対象として医師の判断でtDCSが治療適応となる患者に施行された症例を対象に後方視的な調査を継続する。
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Causes of Carryover |
目標症例数に到達していないため解析に必要な機器の購入を翌年に延期した。次年度に脳波解析も含めて解析可能な解析機器を購入する予定である。
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