2022 Fiscal Year Research-status Report
中学生男子選手における3年間のスポーツ栄養サポートの実践と将来予測分析の基盤構築
Project/Area Number |
22K11486
|
Research Institution | Hagoromo International University |
Principal Investigator |
惠美 真子 羽衣国際大学, 人間生活学部, 講師 (70791961)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 中学生男子 / 成長期 / サッカー / スポーツ栄養 / 栄養サポート / 栄養マネジメント / 将来予測分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
中学生男子は第二発育急進期(スパート)の最中にあり、アスリートであればさらにエネルギー消費量が大きく代謝に必須な栄養素が多種多様である。中学生男子アスリートの怪我を予防しパフォーマンスを向上させるためには、年齢と競技特性に応じた適切なスポーツ栄養学的介入を継続して行うことが求められる。 本研究の目的は、①成長期の中学生選手の発育に応じたスポーツ栄養サポートを3年間実践し、②当該選手と保護者が将来的に自己管理を行えるようにすることである。さらに③3年間の身体組成・消費エネルギー・食事摂取状況・睡眠等のデータと、④可能な限り中学卒業後、高校生以降の身長・体重等のデータを蓄積して、成長期の選手に対する個別栄養指導に有用な「将来予測分析」開発の基盤を構築したいと考えている。 初年度(2022年度)は、2016年から継続して栄養サポートを実施している三重県の地域サッカークラブチームに所属する中学生選手のうち、選手と保護者の同意を得られた1年生16名を被験者とした。研究計画にのっとり、4~6月準備期・7月試合期・8月移行期・9月~11月試合期・12~2月移行期・3月準備期の期分けに応じて、4・6・8・10・12・2月の年6回の身体測定(身長とIn Body270にて体組成測定)、8・11月の年2回の身体活動量測定(腕時計型活動量計Polar Vantage M)・食事調査(目安量記録法と写真撮影法を併用)、5・8・10・1月の年4回の体力測定等を行った。血液検査は医療機関にて、早朝空腹時の採血を8月に実施した。これらのデータをもとに、栄養セミナーや食事調査結果の個別フィードバックを行い、総合的な栄養介入を実践した。2023年度以降も1年生から10名ずつ被験者を募り、2024年度中学1年生が3年生になるまでのデータを蓄積し、「将来予測分析」開発の基盤を構築する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①初年度(2022年度)は準備期間ととらえ、試行しながら研究計画遂行上の問題点や課題を洗い出すこととした。被験者はクラブチーム所属の中学生1年生選手から10名募ったところ16名の希望があった。データの欠損や途中辞退の可能性に備えて16名を被験者としたが、脱落者もなく全て計画通りデータを取得でき、来年度の被験者継続についても全員の同意を得られた。 ②身体計測(身長とIn Body270にて体組成測定)は、食後2時間以上空けた活動前の午前中としていたが、練習や試合スケジュールの都合上、午後に実施することがあった。その時身長が2カ月前より低い選手が多く見られた。後日、同日午前午後で身長差が-0.4±0.3cm(平均±標準偏差n=16)であることが確かめられた。今後は午後に統一して身体計測を実施する。 ③8月に行なった身体活動量測定(腕時計型活動量計Polar Vantage M)は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で活動が制限され本来の活動量が測定できなかった。そこで選手の所属中学校の校長に承諾を得て、11月に学校活動中の活動量も含む1週間の活動量を測定できた。合わせて同時期に1週間の食事調査(目安量記録法と写真撮影法を併用)も実施した。 ④体力測定結果と同月の体組成を検討したところ、アジリティテスト、5段跳び、20m走、yoyoテストと除脂肪量や体脂肪率に相関が認められた。今後、体組成の経年的変化と体力測定結果の関係性について追跡する予定である。 ⑤血液検査については、ヘモグロビン12.0g/dl以下の貧血と診断される選手は見られなかったが、フェリチン低値:10~20ng/mlは2名、20~30ng/mlは5名見られた。日本人中学生サッカー選手の血液性状に関する報告は少ないことから、来年度は被験者を増やしデータを検証する。
|
Strategy for Future Research Activity |
①基本的には2022度の方法を踏襲しつつ改良を加え、4月より栄養介入を実施する。新規中学1年生、継続中学2年生の選手と保護者を対象に、オンライン説明会を開催し、中学1年生12名、中学2年生16名の同意を得られた。 ②準備期間の試行の結果、中学生の学校活動に影響されない夏期及び冬期休業中が研究活動への参加に無理がないことが分かったため、8月と12月をメインのデータ取得月として計画した。身長計測とIn Body270を用いた体組成測定は4・6・8・10・12・2月の年6回実施する。身体活動量計測(Polar Unite)と食事調査(目安量記録法と写真撮影法を併用)は、 8・12月の年2回実施する。体力測定は、5・8・12月の年3回、血液検査は医療機関にて、早朝空腹時の採血を8・12月の年2回、夏休み・冬休み等長期休暇中に実施する。このように、各々のデータ取得を行う月を揃えることにより、解析ならびに考察時にも選手の体の状態をより確信をもって把握できるようになり、研究が円滑に進むと期待される。 ③身体活動量測定は、腕時計型活動量計Polar Vantage M が販売終了したため、Polar Uniteに機種を変更する。新機種も、本研究において取得したいデータは前機種と何ら変わりなく取得できるため、研究実施上の支障はない。血液検査については、特に冬季に疲労骨折などの怪我が多かったため、夏季と冬季の状態を比較する目的で12月にも実施して、年2回とする。さらに、疲労骨折やパフォーマンスとも関連するといわれるビタミンDについて検証するために、検査項目として血清25-ヒドロキシビタミンDを追加する。 ④本年度の被験者とその保護者には、来年度以降も引き続き被験者として参加頂けるよう、被験者としての負担感について常に意見収集して、負担感の軽減と取得データの正確性がともに担保できる方法を確立する。
|
Causes of Carryover |
研究は計画通り遂行できたが、差額が少額だったため、次年度に繰り越すこととした。
|