2023 Fiscal Year Research-status Report
片側での筋出力グレーディングに対して「無駄な力」となる対側同一筋の筋出力の解明
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22K11551
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
速水 達也 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (50551123)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | グレーディング / 筋活動 / 運動感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず、昨年度に引き続き片側でのグレーディング課題時における主働筋および拮抗筋の筋活動様相の変化について検証した。上肢と下肢についてそれぞれ当尺性収縮力発揮を行った。測定条件は、目標筋出力3種類(最大随意収縮力: MVCの30%、50%、70%)とした。視覚フィードバックは行わず、対象者は自身の筋出力に対して主観的に知覚した変化を参照して筋出力発揮を行った。得られたデータから、グレーディングの正確性を定量化するために、対象者が発揮した力を測定し、目標強度に対する誤差を算出した。その結果、上肢、下肢ともに段階つけた筋出力ができることが明らかとなった。また、筋活動様相については、運動強度が高いほど主働筋の筋活動量に対する拮抗筋の筋活動量は相対的に低くなっていた。 次いで、片側で筋出力を多段階に設定した際、対側でのグレーディングに変化が生じるかどうかについて検証を行った。片側での筋出力は、0%、10%、30%、50%、70%(MVC)の5段階とし、対側でのグレーディングは前述の3段階とした。これを上肢(肘関節屈曲/伸展)および下肢(足関節底屈/背屈)についてそれぞれ実施した。その結果、上肢と下肢とで異なる変化様相が認められた。具体的には、上肢においては片側で筋出力が大きいほど対側でのグレーディングの正確性が低下し、下肢ではグレーディングの正確性に変化が認められなかった。なお、上肢、下肢ともに運動方向が結果に及ぼす影響は認められなかった。筋活動様相については分析中であるが、片側の筋活動量の変化と対側同一筋の筋活動量に対応関係がある可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に新型コロナウィルス感染症の影響で実験遂行が滞ることがあり、今年度は昨年度予定していた不足分に対して取り組むことから始まった。そのため、当初計画からやや遅れていると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、グレーディングの正確性が最も高くなると考えられる条件を選定するとともに、最も正確性が低くなる条件との比較を詳細に行う。また、大脳皮質脳血流量の変化についても検証を実施する。さらに、これまでの実験結果についてサンプル数を増やし、結果の妥当性を高めるようにする。
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Causes of Carryover |
研究進捗がやや遅れたことから、当初参加予定であった国際学会への参加を取りやめたため。また、導入予定であった備品が納期未定の見込みであったため。 2024年度に国際学会への参加を予定している。また、備品導入を予定している。
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