2022 Fiscal Year Research-status Report
パラ・パワーリフティングのベンチプレス動作の安定に対するマウスガードの効果
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22K11591
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
菅嶋 康浩 朝日大学, 保健医療学部, 教授 (60241270)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マウスガード装着 / 動作の安定 / 左右差 |
Outline of Annual Research Achievements |
(目的)本研究の目的は、肩の等速性筋力に対するマウスガード(MG)の影響を評価することであった。また、MGに対する違和感と運動やスポーツのパフォーマンス(運動能力)への影響について聞き取り調査を行い、MGの使用感と筋力の関係についても合わせて評価した。 (方法)大学生ラグビー選手男子10名を対象とし、左右の肩回りの筋量、肩及び肘関節可動域、両肩等速性筋力を計測する。肩回り筋量、関節可動域(肩水平位伸展角度、肘屈曲角度)、肩等速性筋力は最大トルク、最大トルク/体重、立ち上がりトルク、最大トルク平均、平均パワー、動作可動域(ROM)、最大仕事量であった。各項目について、MGの有無の影響を評価した。 (結果と考察)参加者の筋量、筋厚、関節可動域において利き手と非利き手の間で違いはみられなかった。肩等速性筋力では、最大トルク、平均パワーは左右ともにNMGとMG間でほとんど有意差が認められなかった。しかし、力の立ち上がりにおいて、MGで増加傾向がみられ、マウスガードの装着は筋力発揮の立ち上がりの増大を引き起こす可能性があると考えられた。また、MG使用に関する意識調査に関して、10名中1名を除き使用に対し違和感を感じていなかった。マウスガードが運動のパフォーマンスに影響するかに対して、6名が「力が入る」などのプラス効果を示し、4名は「影響しない」と回答した。マウスガードは、歯や口腔の保護が、第一の目的であり、運動のパフォーマンスへの効果は主目的ではないことからすれば、本研究結果は妥当と考えられる。しかしながら、等速性筋力に対して、マウスガードの装着は筋力発揮の立ち上がりの増大を引き起こす可能性があり、このことは、スポーツのパフォーマンスを向上させる可能性を持つことを窺わせると考えられた。 なお、本研究の一部を日本人間工学会東海支部研究会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度において、BP動作のばらつきに起因する因子を探るために、2つの実験を行った。その進捗状況は以下のとおりである。 【実験1】(目的)肩の等速性筋力装置を用いて、MG装着が肩の動的筋力(利き腕と非利き腕)に及ぼす影響を評価すること。(方法)大学生ラグビー選手男子10名を対象とし、左右の肩回りの筋量、肩及び肘関節可動域、両肩等速性筋力を計測した。肩回り筋量、関節可動域(肩水平位伸展角度、肘屈曲角度)、肩等速性筋力は最大トルク、最大トルク/体重、立ち上がりトルク、最大トルク平均、平均パワー、動作可動域(ROM)、最大仕事量であった。各項目について、MGの有無の違いを評価した。(結果と考察)その結果、肩等速性筋力の各項目において、左右ともにNMGとMG間で有意差が認められず、MG装着による有意な増大はなかった。しかし、ROMを除いたすべての項目において、非利き腕/利き腕比がNMGに比べ、MGで有意に低下し、ほぼ100%となった。このことから、MGを装着することで噛み合わせのバランスが改善され、利き腕と非利き腕の差がなくなり、発揮筋出力はほぼ同程度になることが考えられた。なお、実験の内容の一部を日本人間工学会東海支部研究会にて発表した。 【実験2】(目的)BP動作に対するMG装着の及ぼす影響を3次元動作解析と筋電図解析により評価すること。(方法)大学生ラグビー選手男子10名を対象とし、25,50,75%RM(最大挙上重量)でベンチプレス動作を行った。3次元動作解析装置を用いて、バーベルの挙上速度と高さ、肘角度を計測、また咬合筋及び上肢筋群の筋電図活動を計測した。現在、各項目についてMGの有無の違いを評価するための解析を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2022年に実施した2つの実験を基に次のように研究を進める。 ---- 1)実験2の解析を継続し、結果を取りまとめる。 2)実験1での結果と考察についての再現性の検証を行う。具体的には、対象を代えて、同条件で実験を実施する。 【実験】(目的)肩の等速性筋力装置を用いて、MG装着が肩の動的筋力(利き腕と非利き腕)に及ぼす影響について再現性を評価すること。(方法)大学生ラグビー選手男子20名を対象とし、左右の肩回りの筋量、肩及び肘関節可動域、両肩等速性筋力を2回、日を分けて計測する。肩回り筋量、関節可動域(肩水平位伸展角度、肘屈曲角度)、肩等速性筋力は最大トルク、最大トルク/体重、立ち上がりトルク、最大トルク平均、平均パワー、動作可動域(ROM)、最大仕事量であった。各項目について、MGの有無の違い及び再現性を評価する。
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Causes of Carryover |
2022年度において、コロナ禍による打ち合わせや学会出張ができなかったこと、また参加協力者数の変化、解析機器修理の発生、物品価格の変化などにより、当初計画通りの予算執行ができなかったため、272円の次年度使用額が生じた。 次年度は、翌年度分として請求した助成金(直接経費600,000円、間接経費180,000円、計780,000円)と合わせて、次年度の実験において予算執行する。
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Research Products
(1 results)