2022 Fiscal Year Research-status Report
学童期における体力差に配慮した小学校体育ボールゲームの指導プログラムの開発
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22K11645
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
津田 龍佑 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (80466648)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 体力・運動能力 / 身体活動量 / 二極化 / ボール運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
文部科学省が示した小学校学習指導要領解説(体育編)によれば,運動する子どもとそうでない子どもの二極化がみられること,子どもの体力は改善傾向にあるが,体力レベルの高かった1985年頃と比較して依然として低いこと,などが指摘されている(文部科学省,2018).また,このような問題に対する改善の具体的事項として,「体つくり運動」の学習だけでなく「体つくり運動」以外の領域においても,学習した結果としてより一層の体力の向上を図ることが明示されている(文部科学省,2018). ボール運動「ゴール型」の代表的な種目であるサッカーは子どもに人気の高い運動であるが,指導経験の浅い先生やクラス内で子ども達に技能差のあるような時に授業が難しいことも指摘されている(日本サッカー協会,2017).また,小学校高学年におけるボール運動の授業を展開する際には,児童の発達段階を踏まえ,プレイヤーの人数,コートの広さ,ネットの高さ,塁間の距離,プレイ上の制限,ボールその他の運動用具や設備などを修正し,児童が取り組みやすいようにゲームを工夫すること(簡易化されたゲーム)が求められている(文部科学省,2018).このことを考慮すると,小学校高学年のボール運動を対象に,児童が取り組みやすいように工夫した結果として,子どもの身体活動量を増やすことができるのか否かを検証する試みは極めて重要であると考えられる. 本研究では3対3のゲームに焦点を当て,壁あり・壁なしの観点からゲーム中の身体活動量を検討することを目的とした.その結果,壁ありゲーム,壁なしゲームのいずれも中強度以上の活動時間が多く出現することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,小学校体育・ボールゲームの授業を対象に,1つの本実験と1つの予備実験を行うことができた. 【研究課題1】小学校体育におけるボール運動の体力つくりからみた負荷特性 【研究課題2】小学校体育におけるボール運動の指導プログラムの開発と有効性の検証 研究課題1では,壁ありゲーム,壁なしゲームのいずれも,中強度以上の活動時間が多く出現することが示された.研究課題2では,課題1の結果を踏まえて,指導プログラム案を考案し,予備実験として実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られた成果は,学術論文としてまとめて発表する予定である(研究課題1).また,研究課題2の予備調査の結果,子どもの体力だけでなく動きも合わせて分析する必要性を再認識した.このことを踏まえて,指導プログラムを改善し,その効果を検証する予定である.さらに,本研究から得られた成果を指導現場へ周知することも重要な課題である.研究代表者は県の「体育の授業充実・体力向上アクションプラン委員」となっていることから,教育委員会を通して情報発信していく予定である.
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Causes of Carryover |
理由は大きく2つある.その1つは本研究では活動量計を購入したが,数量が多かったため単価を安く抑えられたことである.また,壁ありゲームを実施するために防球フェンスを購入する予定であったが,町の教育委員会から借りることができたためである.今後は,研究課題2の本実験で動作解析を行うためのパソコンを購入する予定である.
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