2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the fibrosis-inducing effects of quinolinic acid and search for food ingredients that protect the body from fibrosis
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22K11716
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
小林 謙一 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 教授 (80434009)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 臓器線維化 / キノリン酸 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 非アルコール性脂肪性膵疾患 / トリプトファン代謝 / 肥満 / GAN飼料 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に、高脂肪・高コレステロール・高フルクトース飼料(GAN飼料)誘導性非アルコール性脂肪肝(NASH)モデルマウスを作製(14週間飼養)(GAN-14)した結果、肝臓と膵臓で線維化が生じていることを明らかにした。また、GAN-14では、トリプトファン代謝及びNAD代謝経路の関連遺伝子が肝臓で軒並み低下していたのに対し、膵臓では軒並み上昇していることを明らかにした。 そこで本年度は、GAN飼料で26週間飼養(GAN-26)し、高度の肥満とNAFLDを呈した状態における臓器線維化とトリプトファン代謝変動について解析した。 まずは、GAN -26マウスの肝臓における組織学的解析を行った結果、GAN-26 の肝臓で顕著な脂肪肝であるとともに、線維化が確認された。また、線維化マーカーである平滑筋アクチン(α-SMA)の遺伝子発現量も増加していた。その上で、このマウスの肝臓におけるNAD代謝関連遺伝子発現量を検討した結果、GAN-14と同様に軒並み低下していることを明らかにした。したがって、肥満に起因するNAFLD やNASH とNAD代謝が関連している可能性が示唆された。 一方、本マウスの血清を用いた生化学的解析をおこなった結果、GAN-26 でも血中アミラーゼ値の有意な上昇が観察された。そこで、 GAN-26 の膵組織の組織学的解析を行ったが、形態学的変化は観察できなかった。しかし、膵臓での定量的 PCR を行った結果、GAN-26 でα-SMA遺伝子発現量の上昇が認められ、軽度の膵線維化が生じていることが示された。次に、NAD代謝関連遺伝子発現量を検討した結果、GAN26では、GAN-14と異なり、一部の上昇にとどまっていた。この結果は、本マウスは、GAN26でもNAFPD も誘導していたが、NAD代謝変動には時間的な変動があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、GAN飼料で26週間飼養(GAN-26)し、高度の肥満とNAFLDを呈した状態における臓器線維化とトリプトファンおよびNAD代謝変動を中心に解析した。研究実績の概要での記したように、GAN-14およびGAN-26が肝臓でNAFLDの病態を示すとともに、膵臓でNAFPDの病態を示すことを明らかにした。この結果に基づいた研究のほうにフォーカスをあてた結果、培養細胞による臓器線維化予防・抑制食品因子の探索について、十分に行うことができず、著名な知見を得るには至っていない。そこで、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、GAN誘導性肥満モデルにおけるNAFLDおよびNAFPDの時系列な病態変動及びトリプトファン・NAD代謝変動を明らかにする目的で、GAN飼料で6週間飼育したGAN-6、20週間飼育したGAN-26、55週間飼育したGAN-55マウスを作製する。(すでにGAN-55については、作製に着手している。)これらのマウスの臓器(腎臓・肺、心臓、脾臓など)における、線維化及びトリプトファン・NAD代謝変動に及ぼす影響について明らかにする予定である。それらによって、臓器線維化症とトリプトファン代謝変動との関連を明らかにできるであろう。 加えて、各種培養細胞を用いて、キノリン酸蓄積型線維化モデル細胞の確立を急ぐとともに、線維化を予防・改善するポリフェノール類の探索を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
2023年度については、厳密かつ適切に経費を支出した結果、一部115558円程度の次年度繰越額が生じた。2024年度に関しても、引き続き物品費が大きなウェイトを占める予定である。具体的には、実験動物関連消耗品(餌、床敷、ケージ、給水瓶など)、培養細胞実験関連消耗品(CO2ボンベ、液体窒素、培養ディッシュ、プラスチック製品、血清など)、培養細胞株、分子生物学実験関連消耗品(リアルタイムPCR関連試薬類、プラスチック製試験管ならびにピペットなど)、生化学実験消耗品(各種抗体、ウェスタンブロッティング関連消耗品など)、組織学的実験消耗品(染色バット、染色液、抗体など)を購入予定である。加えて、出張費に関しては、国内学会で発表などを行うことを想定している。その他の雑費については、動物実験における血清生化学受託解析費用および論文の投稿費用などを念頭にいれている。
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Research Products
(9 results)