2023 Fiscal Year Research-status Report
Role of omega-6 fatty acids for the development of delirium in older patients with cardiovascular disease
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22K11761
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
宮崎 哲朗 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30600473)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | せん妄 / 低栄養 / 心血管疾患 / 高齢者 / 多価飽和脂肪酸 / 脂肪酸代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は順天堂医院関連病院(順天堂医院、順天堂浦安病院、順天堂練馬病院、順天堂江東高齢者病院、越谷市立病院)による多施設共同研究である。関連施設に入院した高齢急性心不全患者を対象に、脂肪酸・脂肪酸代謝関連物質を含む血液検査、譫妄発症、認知機能測定、脳血流シンチグラム等の画像検査を行う。さらにω-6 系脂肪酸を含む脂肪酸代謝関連栄養素を含んだ食事プログラムによる前向き介入研究を行う。特に心疾患患者における血中脂肪酸バランスと心筋脂肪酸代謝との関連について心筋内TG 量測定法を用いて検討し、心筋脂肪酸代謝に対する有効な介入法を確立、高齢心不全患者に対する新たなかつ効果的な栄養指導プログラム開発に繋げる予定である。 今年度は集中治療室に入室した種々の心血管疾患患者のデータベース作成、血液検体等の保存、解析を進めており、コロナ禍において進捗の遅れを取り戻しつつある。その中でも、データベースの作成の中で高齢低栄養の急性心筋梗塞患者に対し早期に栄養指導を行うことで予後が改善することを論文発表(Poor nutritional status during recovery from acute myocardial infarction in patients without an early nutritional intervention predicts a poor prognosis: A single-center retrospective study. Nutrients. 2023; 15, 4748)している。 また基礎研究として脂肪酸代謝関連物質であるリゾホスファチジルグルコシドが、M2マクロファージにおいてABC A1の細胞表面への移動を抑制することによりコレステロール排出を抑制すること(Lysophosphatidylglucoside/GPR55 signaling promotes foam cell formation in human M2c macrophages. Scientific Reports. 2023; 13: 12740)を論文発表している。リゾホスファチジルグルコシドは神経回路形成に関わっており、動脈硬化のみならずせん妄発症との関連についても研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CICUでのデータベース作成、血液検体保存、脂肪酸代謝に関わる長鎖脂肪酸等の各種測定は順調に行われている。しかしながらコロナ禍により疾患患者の入院制限等により、研究参加者自体が減っているのが現状である。その中でもMRSによる心筋内中性脂肪測定等の特殊な検査のリクルートには前年と変わらず難渋している。測定に関わる大学院生、スタッフが増加したことにより、今後進捗していくと考えている。 また現在、症例を急性大動脈疾患患者、血栓症患者、心停止患者に拡張して調査を行っており、今後論文化を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究に関しては、予定どおりCICU入院患者においてω6系脂肪酸代謝に関わる栄養素の測定を継続、解析をしていく。当初の研究目的では、これらのω6系脂肪酸及びそれに関わる栄養素を是正する食事プログラムを作成することとなっているが、それに加え心臓リハビリテーションがこれらの栄養素にどのような影響を与えるかも引き続き考察する。 また現在、急性心血管疾患患者の予後規定因子となりうるせん妄発症と脂肪酸バランスを含んだ栄養状態に関する調査も行っており、せん妄発症が治療介入効果のサロゲートマーカーに成り得るかを検討する。さらに症例を大血管疾患患者、血栓症患者、心停止患者に拡張して調査を行っている。 基礎研究に関しては、脂肪酸代謝関連物質であるリゾホスファチジルグルコシドと様々なマクロファージサブクラスにおけるコレステロール代謝との関連を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に関しては、複数の科学研究費の他に奨学寄付金を取得できたため、当初科学研究費から捻出する予定であった物品購入あてることが可能となった。またコロナ禍のため、学会のオンライン化等により出張が減ったこともありその額に相当する繰越金が発生した。 (使用計画)物品費、人件費に関しては、研究協力を行う大学院生、データベース作成補助者に対する人件費に使用する予定である。 旅費に関しては米国心臓病学会、欧州心臓病学会に参加予定であり、その渡航費用に当てる予定である。
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