2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of diagnostic criteria on cancer cachexia for Japanese
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22K11839
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
森 直治 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70625540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 晃滋 大阪大学, 医学部附属病院, 特任講師(常勤) (40573093)
前田 圭介 愛知医科大学, 愛知医科大学, 教授 (50775179)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 悪液質 / 診断基準 / 筋肉量 / 筋力 / 不可逆的悪液質 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人のがん悪液質診断基準値の検討、がん悪液質診断の代替指標の検討を進めるため、進行がん患者から、悪液質に関連するデータを集積すると共に、文献収集等を行い、学会発表に加え、2023年度から英文論文発表を行った。進行がん患者の死亡に伴うBMIと体重変化の関連性を検討した英文論文「Association of body mass index and weight change with death in patients with advanced cancer」をNutrition誌に発表した。2022年度から検討を進めてきた骨格筋量に関する研究結果は「Psoas Muscle Index as a Predictor of Short-term Prognosis in Patients with Advanced Cancer」のタイトルで23th PENSA Congress in Taipeiにて発表した。 2023年9月のAsian Working Group of Cachexiaによる悪液質診断基準の発表に伴い、自験データによる検証論文「Validity of the diagnostic criteria from the Asian Working Group for Cachexia in advanced cancer」を悪液質関連のトップジャーナルであるJournal of Cachexia, Sarcopenia and Muscleにて発表した。また、不可逆的悪液質の判定に関する研究に関連して、「Fluid retention and weight loss in refractory cancer cachexia.」をBMJ Supportive & Palliative Care誌に、「 Impacts of fluid retention on prognostic abilities of cachexia diagnostic criteria in cancer patients with refractory cachexia」をClinical Nutrition ESPEN誌で発表した。 その他、国内の悪液質、緩和医療、臨床栄養関連の学術集会で、悪液質の診断指標と臨床アウトカムに関連する研究成果を2023年度は5題、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度も、当初の予定通り順調に症例を集積が行えていた。一方で、2023年夏にアジア人を対象とした悪液質の診断基準が老年内科医を中心としたAsian Working Group for Cachexia (AWGC) から発表される見通しであることが公表され、9月に正式にオンラインで発表された。(Arai H, et al. Diagnosis and outcomes of cachexia in Asia: Working Consensus Report from the Asian Working Group for Cachexia. J Cachexia, Sarcopenia Muscle 2023;14:1949-58.) このAWGCの診断基準は「がん」に特化した診断基準では無いが、「がん」も主要なターゲットとし、日本人を含むアジア人に向けた悪液質の診断基準であった。骨格筋量の評価は診断基準に含まれていないが、我々が代替指標といて検討してきた筋機能の「握力」も指標に取り入れられていた。我々が集積したデータはAWGCの診断基準指標を全てカバーしており、直ちにこのAWGC基準の検証研究ができる状況にあった。そこで、進行がん症例の生命予後をアウトカムに、AWGCの診断基準の検証研究を行ったところ、AWGCの診断基準による悪液質症例の生命予後は不良で、AWGCの診断基準による悪液質は独立した予後因子という結果を得た。このことから、我々の検討していた「日本人のがん悪液質の診断基準」に関しては、新たな基準を検討するのでは無く、当面、AWGC基準の日本人のがん悪液質の診断基準としての有用性について検証を進める方針とし、研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
主な研究テーマであった「日本人のがん悪液質診断基準値の検討、がん悪液質診断の代替指標の検討」に関しては、前述の通り2023年に提唱されたアジア人向けのAWGCの悪液質診断基準が、日本人のがん悪液質診断においても活用可能である可能性が高い。また、用いられる指標は、我々が収集していたデータと一致しているため、引き続き、症例の集積とフォローを行い、その有効性検証研究を進めていく。特に、AWGCの評価指標に採用され、これまでの欧米のがん悪液質の診断基準で採用されてこなかった握力測定の意義につき、検証を行いつつあり、学会発表を行い、英文論文を投稿予定である。 また、もう一つの研究テーマである「不可逆的悪液質の判定基準の検討」については、2023年度から本研究の検討も開始し、これに関する予備的検討で、既に二つの英文論文を発表している。高度進行がん症例の関連データを現在、収集しており、この結果も2024年度後半には解析し、発表したい。
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Causes of Carryover |
論文投稿、学会発表が当初予定より、数ヶ月遅れ、費用の持ち越しが生じました。2024年度に学会発表、論文発表を予定しており、使用予定です。
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