2023 Fiscal Year Research-status Report
支持基底面と有効支持基底面の概念を取り入れた易転倒性スクリーニング方法の開発
Project/Area Number |
22K11866
|
Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
杉浦 宏季 福井工業大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20736144)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | バランス能力 / 足圧中心位置 / 支持基底面 / 有効支持規定面 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトは立位姿勢を保持する際、足圧中心(COP)を支持基底面内(BOS)に保持し続ける。しかし、COPをBOSの外周まで移動させることはできず、実際はその内側に存在する有効支持基底面(LOS)の外周までしか移動させることはできない。つまり、BOSに対するLOSの割合(LPB)は大きいことが望まれる。しかし、LOSおよびBOSの両方を反映したバランステストは少なく、多くはBOSに着目されていない。また、テストの難度が高い場合、中高齢者の中には成就できない者が存在する。 課題1では男性の中高齢者10名を対象に、難度の異なるLPBテストの足隔条件(0cm、10cm)間差および日間信頼性を検証すること、ならびにLPBテスト間の関係を検証した。被験者はBOSの測定後、円を描くようにCOPを移動する円動作、ならびにCOPを前後左右の計4方向に移動する直線動作によりLOSを測定した。本課題ではこれを3日間実施した。解析の結果、両動作のLPBはいずれの日も10cmが0cmよりも有意に大きかった。また、信頼性はいずれの条件も0.78を超えていた。加えて、LPBテスト間の関係はいずれも0.87を超えていた。結論として、日間信頼性は中程度以上であること、円動作のLOSはBOSの40%未満(0cm:33.5±7.5%、10cm:36.6±8.7%)、直線動作のLOSはBOSの50%程度(0cm:51.8±12.6%、10cm:54.3±10.6%)であり、両動作とも足隔拡大によりLPBは大きくなることが明らかとなった。また、LPBテスト間の関係は高く、難度の高い円動作が成就できない高齢者はそれが低い直線動作にて代用できることが示唆された。 課題2では直線動作を用いて地域高齢者を対象にLPBおよび体力・運動能力との関係、ならびに転倒との関連を検証する。現在は120名を測定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は海外製品の到着が予定よりも遅れ課題遂行に支障が生じた。しかし、令和5年度は前年度の課題(LPBの測定方法の決定)に加え、当該年度の課題(2年計画で地域高齢者のLPBおよび体力・運動能力を測定)も遂行でき、現在は高齢者120名のLPBおよび体力・運動能力を測定できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度の計画は令和5年度の継続であり、定期的に高齢者のLPBおよび体力・運動能力の測定を行う。また、令和7年度は過去2年間で測定した高齢者のLPBおよび体力・運動能力、ならびに転倒に関して縦断変化を検証する。
|
Causes of Carryover |
令和4年度の進捗が遅れたことに伴い、令和5年度の学会発表数が当初の予定よりも少なくなり、併せて論文の完成も年度内に間に合わなかった。そのため、旅費やその他経費の使用額が予定よりも少なくなった。現在は当初のスケジュールにまで挽回できたため、前年度までの助成金分も併せて使用していく。
|