2023 Fiscal Year Research-status Report
超小型多軸触圧センサを活用した在宅で使える簡易型とろみ度測定器の開発
Project/Area Number |
22K11880
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
齊藤 桂子 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (70788744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 美保 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (20398481)
黒瀬 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (40397162)
森川 和政 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70514686)
佐藤 大祐 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (70778703) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 嚥下 / とろみ / 食支援 / 咀嚼 / レオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
介護者が安心して安全なとろみ付けをした食品を提供出来るよう、各家庭に導入出来る安価且つコンパクトな粘度計を目指し、計測対象となる溶液の安定した粘度検出を実現する核となるコア基盤技術を確立することを目指している。
昨年度までの研究開発の中で、開発を行った小型とろみ検出器では、既存技術の改良ではなく、全く異なる概念となるMEMSチップを使用した小型6軸触覚センサを核に感圧ヘッドにかかる三次元の力を検出するシステムの構築を行い、ニュートン流体・非ニュートン流体において高い精度での粘度検出を実現してきた。本年度は、昨年度の検証よりも詳細な検討を行うために、複数のメーカーの異なるトロミ剤を対象にB型粘度計と高精度レオメーターを用いて測定値の比較を行い、計測結果との誤差により精度を評価してきた。レオメーターはその特性上、回転速度の可変が可能であり、異なるせん断速度下での記録を可能とする。開発を行っている小型粘度計では、速度は一定として計測を行うことを想定しており、検証を行う際には、レオメーター側はせん断速度を63.1(1/s)で固定し、その値を比較対象とした。解析を行った結果、最も高い出力を示したX軸のモーメント(Mx)では0.9を超える高い相関を得られ、MyやMzでもその値は0.9付近を示し、非常に高い相関を得られた。これは、3種類の市販されているとろみ調整剤で同様であった。以上の結果から、新しい概念で開発を行ってきた検出システムの有効性は、非ニュートン流体でも証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニュートン流体だけでなく、非ニュートン流体においても想定以上の精度で粘度検出に成功している。検出システムの有効性は十分に得られている。上市を目指した計画の中では、小型化や防水化など、様々な課題をクリアしていく必要があるが、従来までの手法とは異なる新しい原理での粘度計測を実現したという学術的な価値は十分に得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに開発を行ってきた、既存技術の改良ではなく、全く異なる概念となるMEMSチップを使用した小型6軸触覚センサを核に感圧ヘッドにかかる三次元の力を検出するシステムはは、ニュートン流体に加えて、とろみ調整材などの非ニュートン流体においても十分な精度で粘度検出を可能としている。今後は、応用範囲を検討するため、塗料などのスラリーなどを対象に検証を行う。また、本システムを介護現場へ応用することを目指し、システムの小型化や防水化なども同時に検討することとする。
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Causes of Carryover |
コア基盤技術の確立を目指した研究計画であったが、想定以上に早い段階で高い精度での粘度検出を実現した。これにより、試算していた試作に関する費用を用いることがなかった。次年度には、将来の介護・臨床現場への応用を目指した試作を予定しており、そのための試作経費に、本年度生じた差額を用いることとする。
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