2022 Fiscal Year Research-status Report
情報消去にかかるコストの理論限界とそれを達成する消去方法の解明
Project/Area Number |
22K11899
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
松田 哲直 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00638984)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 情報消去 / 情報セキュリティ / 情報理論 / 情報理論的安全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
国家機関や企業、あるいは個人が多くの秘密情報を保持する機会が増えてきている。近年はこれらの情報が、HDDなどの各種の補助記憶装置に保存されていることが多い。他方、新しい補助記憶装置に秘密情報を移行する際には、古い補助記憶装置を破棄したり、別の情報の保存先として再利用したりすることがある。この際に秘密情報を上書きして消去する必要があるが、補助記憶装置が劣化することを防いだり、短い時間で消去したりするために、上書き箇所数は少ないことが望ましい。本研究では、情報消去が必要となる様々な状況に対して、この上書き箇所数のような、情報消去にかかるコストがどこまで小さくできるのかという理論限界と、それを達成する消去方法を明らかにすることを目的とし、2022年度には以下の成果を挙げた。
秘密情報を保存したHDDのバックアップとして別のHDDにも同様の情報が保存されている場合や、複数の端末で秘密情報を共有する場合には、複数の独立した補助記憶装置に秘密情報が分散している状況となる。そのような状況において、複数の補助記憶装置が同時に参照可能であっても秘密情報が漏えいしないように情報消去する場合を扱い、達成可能コスト領域、すなわち各補助記憶装置での情報消去にかかるコストが取り得る値の組の領域を明らかにした。ただし、秘密情報は定常無記憶情報源から生起し、消去の際には各補助記憶装置で共有の乱数が利用できると仮定している。また、電子情報通信学会情報理論研究会においてこの成果の発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要において述べた成果は、当初から検討を予定していた分散情報に対する情報消去における成果であり、当初の計画の一部は達成できたと言える。ただし、共有乱数のサイズに制限がある場合や、秘密情報が定常無記憶情報源とは限らない情報源から生起する場合の検討が不十分である。また、当該年度に予定していた、分散情報ではない単一の情報に対する情報消去において、コストの理論限界を達成する消去方法の検討が不十分であり、まだ発表できるまでの成果が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、基本的な単一の情報に対する情報消去において、コストの理論限界を達成する消去方法を明らかにすることを検討する。また、引き続き、分散情報に対する情報消去について、共有乱数のサイズに制限がある場合や、秘密情報が定常無記憶情報源とは限らない情報源から生起する場合の検討を行う。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた会議の参加に伴う旅費を利用しなかったことが、次年度使用が生じた原因である。次年度には、今後の研究の推進方策にもとづく研究を円滑に遂行するために、可能な限り多く会議発表などを行う。このための費用として次年度使用を利用する予定である。
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Research Products
(1 results)