2022 Fiscal Year Research-status Report
気候変動下における水産資源の持続的利用を支える統計的モデリングの基盤確立
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22K11929
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
北門 利英 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (40281000)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 気候変動 / 資源管理 / 統計的モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,気候変動下における水産資源の動態把握と資源管理方式の開発を支える統計的手法(モデリングと推測法)の基盤確立を目指し, 気候変動下での水産資源の分布の時空間的変化と統計的モデリング,気候変動下での資源動態の変化(資源量の変化) と統計的モデリング,そして気候変動下での頑健な資源管理システムの開発の3つの観点から研究を行うことを目的としている.令和4年度は以下の内容について研究を行った. ① 気候変動下における時空間分布のモデリング:既存のモデリングの長短所のレビューをサンマ・マグロ類に対して行った. ② 気候変動下における資源動態のモデリング:サンマ資源を対象に,環境変動に伴う環境収容力の変化を個体群動態の状態空間モデルに取り入れ,ベイズ法による推定を試みた.この結果,状態空間の過程誤差を大きく減少させる可能性が確認された. ③ 気候変動下における資源管理システムの構築:気候変動関連文献レビューを行うとともに,サンマ資源に対して,暫定管理システムの検討,および初期段階のシミュレーションモデル構築を行った.またその結果を北太平洋漁業委員会サンマ資源管理方策評価法作業部会にて報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記①~③は3つの独立テーマではなく,モデリング過程を通して構築する水産資源と漁業の気候変動仮想現実モデルを基礎にし,それを用いた確率的シミュレーションで気候変動下でも効果的でかつ頑健な資源管理システムを探索することを目指しているが,項目間の結びつきを令和5年以降強める上で,それぞれの進捗状況が良好と考える.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度以降は以下の予定で研究を進める予定. ① 気候変動下における時空間分布のモデリングについては,サンマ・マグロ類に対する応用について継続的に検討するとともに,モデルのブラッシュアップ,および計算アップデートを行う. ② 気候変動下における資源動態のモデリングについては,状態空間モデルの拡張およびスパース正則化法挿入の検討(理論・計算),そしてモデルのブラッシュアップと計算アップデートを行う. ③ 気候変動下における資源管理システムの構築においては,管理システム評価のための包括的な確率的シミュレーションの実施を目指す. ①~③をベースに資源管理システム評価のための包括的な確率的シミュレーションを通して,頑健な管理システムの探索と確立.および論文作成を行う.
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Causes of Carryover |
予定していた国内出張および消耗品の購入を次年度以降に行うこととしたため.
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