2023 Fiscal Year Research-status Report
Federated Learningを用いたIoT向け自律分散クラスタリング技術
Project/Area Number |
22K11996
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
大田 知行 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (90347617)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 無線マルチホップネットワーク / Federated Learning / 自律分散クラスタリング / IoT |
Outline of Annual Research Achievements |
災害発生時には,迅速な避難のため,災害状況を正確に把握する必要がある.しかし,災害時には通信トラヒックの増加などの要因により既存の通信インフラが正常に機能しなくなる状況下における有効な情報共有の手段として,無線マルチホップネットワークであるモバイル端末間の無線通信のみで構築されるMobile Ad hoc NETwork(MANET) がある.本研究では,地理情報をもとに避難者に対して避難所までの経路を提供する災害時避難支援システムにおいて,自律分散クラスタリングによるMANET 通信とモバイル通信を併用した情報共有手法を提案してきた.提案手法では,ユーザ間で自律分散クラスタリングによってクラスタを構築し,各クラスタのクラスタヘッドがクラスタ内のユーザから情報を収集したのち,その情報をモバイル通信を用いてクラスタヘッド間で共有する.このように,モバイル通信を行う端末をクラスタヘッドに限定することによって,基地局における通信トラヒック量を削減する. ネットワークシミュレータでは,地理情報を利用し,災害等を想定したシナリオに基づいたイベントを発生させることにより,フィールド内の移動経路等の状況を変化させる.各端末は収集した情報に基づき,移動経路の混雑度や危険度に応じた移動先の変更や移動経路の変更をする.このようなフィールドの状況と端末の動きを変化させる機能をネットワークシミュレータへ実装することにより,提案手法を評価してきた. しかしながら,MANET通信では,クラスタ内のユーザがクラスタヘッドへ送信する情報量が増えた場合,その情報を完全にクラスタヘッドへ到達させることは容易ではない.このような状況では,TCPを効果的に動作させることは困難である.クラスタ内の通信において,データ到達を保証する制御方式を実装することで,提案手法の有効性を高めてきた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
無線マルチホップネットワークにおいてFederated Learningを実行するために,各端末の情報を自律分散クラスタリング技術により選出されたクラスタヘッドに確実に届けるためのデータ転送時間を考慮したネットワーク制御方式についての検討を行い,シミュレーションによる評価を行ってきた.しかしながら,Federated Learningを用いた自律分散クラスタリング技術の設計と評価については,十分に設計が完了しておらず,シミュレーションによる評価まで至っていないため,研究状況の進捗がやや遅れているとの判断とする.
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Strategy for Future Research Activity |
Federated Learningを用いた自律分散クラスタリング技術の設計を急ぎ進めていく.ユーザの持つ端末から,移動速度,位置情報,近接ユーザ数,ユーザ密度,通信の優先制御,情報交換の間隔,端末の残存電力等のセンシング情報や近隣端末との情報交換により得られる情報を分析する.ネットワーク資源利用の効率化と通信経路の高信頼化を実現するために,FLを用いたクラスタヘッドの選択,及び,クラスタサイズの決定,クラスタの構成・維持手法を引き続き検討する.さらに,収集する情報が不足するとFederated Learningの性能を下げることになる.特に,各端末とクラスタヘッド間の確実な情報交換を実現するために,自律分散クラスタリングにおける通信の優先制御方式について検討し,評価を行う.
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Causes of Carryover |
2023年度は機器の購入は計画した通りに実施することができたが,研究進捗の遅れにより,国際会議や研究会での研究発表が少なく,旅費の使用が少なかったことが主な理由である.今年度は研究成果を積極的に研究発表することで,国際会議や研究会などで研究内容についての議論を行っていきたい.
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Research Products
(3 results)