2022 Fiscal Year Research-status Report
メニーコア超並列クラスタにおける多倍長演算に関する研究
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22K12045
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 大介 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (00292714)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多倍長演算 / 数論変換 / メニーコアプロセッサ / SIMD化 / 並列化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はSIMD命令であるArm Scalable Vector Extension(SVE)命令を用いて多倍長整数乗算および数論変換(Number-Theoretic Transform、以下NTT)の高速化を行った。多倍長演算ライブラリとしてGNU Multi-Precision Library(GMP)が知られているが、SIMD命令はほとんど用いられていない。Reduced-radix表現を用いることで、キャリーの伝搬処理の回数を削減するとともに、ベクトル化を行うことができた。 Arm SVE命令をサポートしているA64FXプロセッサにおける性能評価の結果、提案手法がGMPに比べて最大36%高速に整数乗算を実行できることを示した。 また、NTTのカーネルには剰余乗算が含まれているが、Shoup乗算を用いることで時間の掛かる除算を実質的に行うことなく、乗算、加減算およびシフト演算のみで剰余乗算を行えることが知られている。そこで、Arm SVE命令を用いてNTTのカーネルをベクトル化するとともに、MPIとOpenMPを用いて並列化を行った。性能評価の結果、提案する並列NTTの実装はA64FXプロセッサからなるクラスタであるFujitsu PRIMEHPC FX1000(1024ノード、4096MPIプロセス)において4831 Gopsの性能を示した。 さらに、2022年度に行った研究成果を国際会議で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の研究成果を国際会議で発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題については、メニーコア超並列クラスタの性能を最大限に引き出す多倍長演算のアルゴリズムおよび最適化手法の研究を引き続き推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度に国内学会に参加して調査研究を行う予定であったが、オンラインで参加したため旅費が不要になり、次年度使用額が生じた。 この次年度使用額については、2023年度の研究成果を発表する際に使用する予定である。
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