2023 Fiscal Year Research-status Report
メニーコア超並列クラスタにおける多倍長演算に関する研究
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22K12045
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 大介 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (00292714)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 複数の整数除算 / 不変な被除数 / 近似商 / BBP型公式 / 固定小数点演算 / 厳密除算 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はSIMD命令であるIntel Advanced Vector Extensions 512(AVX-512)命令を用いて複数の整数除算の高速化を行った。一般的に、除算は加算、減算、乗算よりも遅いことが知られている。不変な被除数と単調増加または単調減少する除数に対する複数の整数除算のアルゴリズムを提案した。このような複数の整数除算において、被除数と除数がある条件を満たす場合、最初に除算によって商を1つだけ計算すれば、残りの商は前に計算された商を最大1回修正することによって得られることを示した。Intel Platinum 8368プロセッサにおける性能評価の結果、提案するアルゴリズムはIntel 64アーキテクチャの64ビット符号なし整数除算命令やIntel Short Vector Mathematical Library(SVML)と比較して、それぞれ最大約1.90倍および約1.85倍高速であることが示された。 また、2進Bailey-Borwein-Plouffe(BBP)型公式を用いた数学定数の計算における除算について検討した。BBP型公式を用いて数学定数の特定の桁を計算するには、商の和の小数部を計算すればよい。固定小数点演算でBBP型公式を計算する際には、小数部だけ除算と和算を行えば十分である。2進数で厳密除算を行う場合、分数の分母は奇数でなければならない。分数の分母が偶数であっても、Montgomery乗算を2進BBP型公式のべき剰余に適用する方法により厳密除算を行えることを示した。また、2進BBP型公式の計算において商を丸めることは、商を切り捨てることよりも丸め誤差の蓄積を減らすことを示した。 さらに、2023年度に行った研究成果を国際会議で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究成果を国際会議で発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題については、メニーコア超並列クラスタの性能を最大限に引き出す多倍長演算のアルゴリズムおよび最適化手法の研究を引き続き推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度の研究成果を2023年8月に国際会議で発表したが、国際会議が都内で開催されたため旅費が少なくなり、次年度使用額が生じた。 この次年度使用額については、2024年度の研究成果を発表する際に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)