2023 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッド混合精度処理によるエクサスケール反復解法ライブラリの開発
Project/Area Number |
22K12053
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
伊奈 拓也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 技術・技能職 (70943596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井戸村 泰宏 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 副センター長 (00354580)
今村 俊幸 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, チームリーダー (60361838)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クリロフ部分空間法 / 混合精度演算 / SYCL |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は昨年度SYCLにより整備した半精度、単精度、倍精度、4倍精度によるデータ型と演算精度の任意の組み合わせを可能とするハイブリッド混合精度処理フレームワークを利用して一般化最小残差法(GMRES法)及び圧縮基底(CB)GMRES法を実装した。GMRES法は方程式Ax=bの行列Aとベクトルbによる部分空間{b,Ab,AAb,...}において残差Ax-bを最小化するベクトルxの近似解を求めるクリロフ部分空間法であり、反復毎 に残差ノルムが単調減少する特徴がある。{b,Ab,AAb,...}のベクトル列はAのべき乗が大きくなると線形従属に近づくため{b,Ab,AAb,...}を直交化して得られるベクトル列を基底ベクトルにして近似解を計算する。 CBGMRES法はGMRES法と同じアルゴリズムであるが、直交化して得られる基底ベクトルを低精度に変換して保持することでメモリアクセスを削減し、高速化を実現する。しかしながら、基底ベクトルを低精度で保持するため丸め誤差の影響により収束性が悪化する場合がある。 実装したCBGMRES法をSuite Sparse Matrix Collectionで公開されている行列データを用いて収束性を評価した。その結果、ハイブリッド混合精度処理によってメモリアクセスを削減して処理を高速化できるケースを確認したが、問題によっては反復毎に残差ノルムが単調減少する性質が失われ、GMRES法と比較して収束性が悪化するケースが存在することを確認した。この問題に対し、基底ベクトルの直交化に数値精度の高い方法を採用することで収束性の悪化が改善することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CBGMRES法を実装してハイブリッド混合精度処理による処理の高速化を確認し、さらに、これに伴う収束特性の劣化およびそれを回避する高精度計算手法を確認できたことから、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はハイブリッド混合精度処理に対応した省通信クリロフ部分空間法の整備を行い高速化と数値安定性の検証を進める。また、本研究課題で整備したライブラリの公開を目指す。
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Causes of Carryover |
所属研究機関の都合により、当初計画で予定していた国際会議への参加を中止したため、参加に係る費用が次年度使用額として生じることとなった。次年度使用額は、次年度分研究費と合わせて、これまでに得られた成果を国際会議における発表に係る費用及び本研究課題で作成したソフトウェアを公開するために実施する最新アーキテクチャのCPU/GPU環境で動作検証に必要な主要な大型計算機センター、クラウドサービス等の計算リソースの購入に係る費用として使用する。
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