2022 Fiscal Year Research-status Report
映像のフレームレート制御による視線誘導に関する研究
Project/Area Number |
22K12140
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
橋本 渉 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (80323278)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 視線検出 / HMD / 没入映像 |
Outline of Annual Research Achievements |
映像の一部を故意に早く(遅く)することによって,視線誘導できるかどうかを調べる.2022年度の研究概要は次の通りである. 1.フレームレート制御の環境構築:映像のフレームレートを実時間で制御できる環境を構築した.描画能力の高いゲーミングPCと,広く使用されているゲームエンジンを利用し,画面の一部または画面全体の更新速度を変更するものである.フレームレートを故意に低下させるため,映像を一定時間保持する仕組みにより,時間分解能の高い制御ができることがわかった.この環境を用いると,フレームレートが変化する領域を動的に移動,変形することができる.また時間分解能を段階的に変更することも可能となった. 2.視線方向に応じたフレームレート制御による視線誘導効果検証:構築したフレームレート制御の環境を利用し,視線方向に基づいた視線誘導の効果を検証している.全方位の没入映像において,視線が視線誘導したい領域を横切ったとき,画面全体のフレームレートを故意に遅くすることによって注意を引く,というものである.この現象は疑似触力覚に類するものである.実験には視線検出機能付きのHMDを利用する.実験参加者には,全方位に配置された物体から指定された物体を探索する,というタスクを課す.探索対象となる物体に視線が横切ると,画面全体のフレームレートが低下し,探索時間が短くなるだろう,という想定に基づいている.現時点では,フレームレート制御の有無による有意差を確認できていない.ただし,物体探索タスクが単純すぎて,視線誘導がなくても探索タスクが完了してしまう,という問題点を確認している.探索難易度を高くする,人間の視線を直接観察する,などの実験方法の見直しが必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フレームレート制御の環境構築は,ゲームエンジンのレンダーテクスチャ機能を導入することで,順調に進んだ.実験に関しては,感染症対策に配慮しつつ実施しているが,多くの実験参加者を集めるには至っていない.以上のことから,やや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
視線誘導の効果が明確に現れるような実験条件が存在するならば,その条件を模索する必要がある.またHMDだけでなく通常のモニタや大型の没入型ディスプレイでも,適用可能か検討する.
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Causes of Carryover |
研究成果発表の機会が得られず,学会参加費や旅費の支出が少なかった.翌年度の成果発表の経費として使用する.
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