2022 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質型学習モデルを用いた養殖魚の発育をセンシングする基盤技術の開発
Project/Area Number |
22K12190
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
徳永 憲洋 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 准教授 (00432956)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 超音波 / スマートセンサ / 脂肪含有量の推定 / ソフトコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は魚のおいしさの指標の一つである「脂ののり(脂肪含有量)」を超音波を利用することにより非破壊で定量的に評価できる基盤技術の開発に関して研究を行った。具体的には動物用の超音波診断装置を用い、マアジの背中から得られた超音波エコー画像から脂肪含有量を推定するアルゴリズムの開発を行った。本研究では機械学習等のソフトコンピューティングを用いてエコー画像から脂肪含有量を推定する方法を模索する予定であるが、まず比較対象として簡単な画像処理技術での脂肪含有量の推定精度を検証した。脂肪含有量の多い魚のエコー画像は皮下から距離が深くなるほど輝度値の減衰が大きくなる。これは脂肪が含まれた肉は超音波エネルギーの減衰が大きいためである。この原理を利用することで、閾値を用いた簡単な処理でもある程度脂肪含有量の推定はできると考えた。検証の結果、推定値の相対誤差は約30%程度と大きい誤差ではあるが、エネルギー減衰を考慮すれば単純なアルゴリズムでも推定は可能であることが示唆された。現在、後方散乱の強さを定量化する方法を用いた脂肪含有量の推定法の開発と、ソフトコンピューティングを用いた方法についても検証中である。本研究は、超音波を利用することで、水中で泳ぐ魚に対しての非破壊評価が期待でき、養殖魚などの成長度を生かしたまま定量化できるスマートセンサの開発に役立てられると考えている。またDICOMサーバを構築することで、動物用超音波診断装置と計算機との間でエコー画像を簡単に連携できるようになり、効率的にエコー画像収取と計算機による検証ができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度にかけて、ソフトコンピューティングを用いた脂肪含有量の定量化方法の開発が計画されているが、計画通り、開発は進められている。マアジ以外のエコー画像の収集が遅れているが、DICOMサーバ等の構築によりエコー画像の収集が高効率となったため、今後、急ピッチで他魚種のエコー画像収集を行える予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度で行う研究は以下の2点である。(A)他魚種における超音波エコーデータ収集、(B)音響を用いて様々な魚の脂の乗りを測定できる基盤技術の開発。(A)については、令和4年度でのマアジのエコー画像と同様の方法で収集を行う。魚の脂肪含有量は背中だけでなく腹側も重要になることが示唆されているため、背中、腹側等、複数点でエコー画像を収集する。(B)については、高精度でエコー画像から脂肪含有量を推定でいるソフトコンピューティング法を開発する。すでに検討されている方法を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
学会等などで利用される旅費を当初は計上していたが新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインでの参加が多かったため、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については、魚肉の検査費用(脂肪含有量など)に利用することで、多くの魚肉サンプルデータを収集したいと考えている。
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