2023 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラム障害児の言語獲得・コミュニケーション支援を標榜した音象徴の解明
Project/Area Number |
22K12232
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
中村 剛士 中部大学, 工学部, 教授 (90303693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ジメネス フェリックス 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (60781507)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オノマトペ / 音象徴 |
Outline of Annual Research Achievements |
オノマトペは,幼児・児童の言語獲得・コミュニケーションに有用であり,幼児期・児童期の音声コミュニケーションに重要な役割を果たす.オノマトペには音そのものが特定のイメージを喚起する強い音象徴性があり,これがオノマトペの直観的情報伝達の基礎を成す.他方,自閉症スペクトラム障害(ASD)児は言語獲得が遅く,オノマトペの理解・表現が不得手とされる.この原因について,我々は「ASD児が定型発達(TD)児や成人TD者と異なる独自の音象徴を持つ」ためではないかという仮説を立てた. この仮説検証のため、2022年度には,実験準備として,実験デザインの検討を行った.実験はオノマトペ・視聴覚刺激・イメージの三者間の関係を調査するデザインとした.例えば, “キラキラ”光る映像を提示し,実験協力者にそのイメージを回答させる,またはオノマトペと映像を同時に提示しイメージの一致不一致を回答させる等である.実験協力者の児童に負荷をかけることなく実施できるデザインとし,児童の年齢・障害レベルに即した実験ができるデザインとした. 実験デザインに基づき,2023年度には実験を実施した.実験は4歳から6歳の発達障害児またはグレーゾーン児の14名を対象とした. 実験では,オノマトペと視覚刺激の関係を調査した.具体的には「有声阻害音(濁音)の有無」と「視覚刺激の大きさ」との関係を調査する実験である.一般的な音象徴としては,濁音は大きいものをイメージさせる傾向があるが,これが発達障害児またはグレーゾーン児にも当てはまるのかを調査するものである.データ数が少ないため,詳細なデータ分析は行っておらず,今後のデータ収集が進み次第,段階的に評価したいと考えている.そのため,実験デザインはそのままで2024年度に改めて被験者を募集し実験を実施できる見込みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画どおり、実験デザイン、プレ実験、実験の実施まで完了しており、2024年度の研究実施には大きな問題はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
被験者募集は現在協力をお願いしている保育所・発達障害児の支援団体を経由して実施している。今後は、前述以外の募集方法についても検討し、できるだけ多くの実験データの収集を試みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
実験用器材の価格が変更があり、予算内で購入できる機材がなかったことが理由である。 2024年度に、昨年度購入できなかった機材を購入する計画である。
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Research Products
(7 results)