2022 Fiscal Year Research-status Report
分子標的薬アファチニブの薬効予測を実現するシミュレーション解析と数理モデル
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22K12261
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
菅野 亜紀 富山大学, 学術研究部医学系, 特命助教 (20457039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 裕 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (20332281)
大田 美香 富山大学, 学術研究部医学系, 特命助教 (20274706)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 分子シミュレーション / 薬効予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、抗がん剤投与の判断指標を提供することを最終目標として、肺がん細胞で新規変異体の発見が続く上皮成長因子受容体(EGFR)に対し、肺がん分子標的薬第2世代のアファチニブを対象に変異型EGFRへの薬効予測を実現する分子シミュレーション解析手法と数理モデルの確立を目的とする。具体的には、我々がこれまでに分子標的薬第1世代ゲフィチニブでの解析で用いた条件を参考に、アファチニブによるチロシンキナーゼ活性阻害を再現可能な解析条件を決定し、数理モデル作成に用いる特徴量を解明する。そして、薬効不明の変異型EGFRを有する非小細胞肺がん細胞へのアファチニブの薬効を予測可能にする。 令和4年度は、分子シミュレーション解析のための文献調査を行った。はじめに、解析対象とする変異型EGFRを検討するため、アファチニブの薬効を報告した文献を調査した。次に、EGFRとアファチニブとの複合体における分子間相互作用を調査し、これまでのゲフィチニブでの分子シミュレーションの解析系の利用の可否を検討した。また、今後の解析の参考として、EGFR分子が1種類のアミノ酸変異を有する場合と2種類の場合で薬効の判定が変化するか、第1世代のエルロチニブを用いて分子ドッキングシミュレーションで確認した。 文献調査の結果、これまでに実験に用いた変異型EGFRでアファチニブの薬効に関する報告があったため、これらの変異型も対象として選定した。そして、アファチニブはゲフィチニブと化学構造上の共通点があり、EGFRとアファチニブの複合体のX線結晶構造解析でゲフィチニブと同様の相互作用が報告されていることから、これまでの解析系を適用可能と判断した。今後更なる検証を進めていく。エルロチニブでの分子シミュレーションでは、我々の解析系での算出結果が文献での結果と一致し、再現可能なことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、分子シミュレーション解析を行う予定だったが、計算環境の準備と文献調査で想定以上に時間を要した。そのため、やや遅れていると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
アファチニブとEGFRの分子シミュレーションを実施し、変異型毎に薬効を算出すると共に解析系を検証する。
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Causes of Carryover |
購入予定の分子シミュレーション用のPCの仕様がこれまでの研究で用いたPCの仕様と大幅に異なることから、分子シミュレーションプログラムへの影響とその対策を検討した。この作業に時間を要したため、次年度に繰り越すこととなった。
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