2023 Fiscal Year Research-status Report
データ駆動型手法による協調的物理法則CGアニメーションの実現
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22K12331
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 崇 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60312261)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 衣服アニメーション / 脆性破壊アニメーション / 周波数制御戦略 / スペクトル記述子 / グラフアテンション機構 / 長期短期記憶 / 潜在インパルス表現 / GS-SDF |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,リアリスティックでダイナミックな衣服アニメーションおよび脆性破壊アニメーションを生成するための新しい学習ベースのアプローチを提示した.これらの研究は,現実的な視覚効果を要求する最新のアプリケーションに対応することを目指すものである. 衣服アニメーションに関しては,従来の手法が個々のアイテムに依存した静的な挙動を示すのに対し,提案手法では任意のトポロジーを持つ衣服に対してリアルな動的変形を生成することができる.この成果は,低周波数での過度に滑らかな変形という問題を克服するため,スペクトルの観点から周波数制御戦略を導入することにより達成することができた.この戦略により,高周波の詳細な変形が可能となり,よりリアルな衣服の動きを実現している.さらに,スペクトル記述子を利用して衣服の形状情報を汎用的に捉えることで,ネットワークの汎用性を高めている.最終的には,グラフアテンション機構と長期短期記憶(LSTM)を統合した推定器を開発し,ニューラルネットワークを用いて衝突処理を改善することで,衣服のアニメーションのリアリズムをさらに向上させることができた. 一方,脆性破壊アニメーションにおいては,リアルタイムアプリケーションでの使用に適した,新しい学習ベースの手法を開発した.本手法では,剛体シミュレーションとシームレスに融合するリアルな破壊パターンを生成することが可能である.BEM脆性破壊シミュレーションを活用し,衝突条件に基づく形状の破壊パターンを学習データとして使用している.また,潜在インパルス表現とGS-SDFを導入することで,衝突による形状の変形を深層学習フレームワークで効率的に表現した.このプロセスは,複数の破壊パターンを1つの潜在コードで表現することに成功し,詳細かつリアリスティックな破壊アニメーションを生成することを可能としている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に挙げた研究テーマについて順調に成果を挙げている. 衣服のアニメーションに関する研究では,今年度にスペクトルの観点から周波数制御戦略を導入したことと,ニューラルネットワークによる衝突処理を導入したことにより,衣服のアニメーションのリアリズムをさらに向上させることができた.一方で,既存手法ではモデルの一般化,変形の品質,実行速度のいずれかに妥協することが多く,実世界のアプリケーションには適していない.今後はモデルの学習能力と汎用性を高めるための方法を考えていきたい. 脆性破壊アニメーションにおいては,リアルタイムアプリケーションでの使用に適した,新しい学習ベースの手法を開発し,剛体シミュレーションとシームレスに融合するリアルな破壊パターンを生成することが可能となった.一方で,現状の手法では生成される複数の破壊パターン形状がもとの外形形状を保存しないという問題があることがわかっている.この問題については,早急に解決していきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策では,衣服のより詳細な変形モデリングと脆性破壊アニメーションの領域で,実世界アプリケーションへの適用を目指した手法の改良を行う. 衣服の変形に関しては,非線形な挙動を示す衣服メッシュのモデリングに新しいグラフ学習スキームを導入する予定である.より具体的には,異なる変形の相関情報を抽出し,これを利用して衣服メッシュを包括的なグラフに変換する.このグラフは,変形関連の情報に富んでおり,メッシュの各頂点の変形挙動への寄与を分析することが可能である.さらに,メッシュ変形タスクのために構造を保存したプーリングとアンプーリングの戦略を採用し,全体の情報伝播を改善して変形のリアリズムを向上させる.このアプローチにより,モデルの一般化,変形の品質,実行速度の三つの課題の克服が期待され,よって,実世界のアプリケーションでの適用可能性を高めることが期待される. 一方,脆性破壊アニメーションにおいては,引き続き,衝突力学に基づいて破断形状を予測し,リアルな破壊アニメーションを剛体シミュレーションとシームレスに統合する,学習ベースのアプローチを開発する.破壊形状の決定には,3D破砕形状を表現するための「生成的幾何セグメンテーション」という新しい技術を導入し,連続的な潜在インパルスコードを用いて複数の破砕パターンを最適化する.また,形状コードを用いてカテゴリ毎に共通なネットワークの構築を目指す.さらに,実行時の破壊形状再構成を効率化するため,元の形状の外部メッシュを維持する新しいSDFベースのケージカット法を導入する予定である.これらの技術は,従来の方法よりも詳細な破壊をリアルタイムで生成し,計算時間を大幅に削減することが期待される.以上の方策により,より広範なアプリケーションへの応用を目指す.
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Causes of Carryover |
予定していた現地での国際海外発表が自己都合で現地にいけなくなり,オンライン発表となったため,その分の費用分が来年度に持ち越しとなった. 来年度の海外発表費もしくは物品費として使用する予定である.
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Research Products
(7 results)