2023 Fiscal Year Research-status Report
熱帯太平洋における東西非対称性の発達過程と全球寒冷化の関係解明
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22K12344
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐川 拓也 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (40448395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 好美 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (80710946)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中央熱帯太平洋 / 表層水温 / 氷期ー間氷期サイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
熱帯中央太平洋マニヒキ海台で採取されたPC5コアについて、初年度に酸素同位体層序構築を行いコア最下部が約220万年前まで到達していることが明らかになっている。平均堆積速度は0.8cm/千年であった。 2年度目には、酸素同位体のために拾い出した浮遊性有孔虫Globigerinoides ruberの残り試料を用いてMg/Ca分析を行い、海洋表層水温(Sea surface temperature: SST)の復元を行った。酸素同位体において10万年の氷期ー間氷期サイクルが確認できた過去60万年間に関してはSST変動にも明瞭な10万年周期変動が見られ、その振幅は1-2.5℃程度であった。一方、60万年以上前の時代については、一つ一つの氷期ー間氷期サイクルの認定は容易ではないが、いくつかの間氷期に対応した高水温のピークが確認された。また、それらの間氷期は全球的に温暖であったと知られる間氷期に対応しており、中央太平洋域が全球気候変動と連動していたことが明らかになってきた。 SSTの長期トレンドは180万年前頃を境に1℃程度上昇し、その後60万年前頃に1℃程度低下していた。このトレンドの変化は氷期ー間氷期の振幅の変化を反映しているものと考えられる。つまり、60万年前以降、氷期ー間氷期サイクルの振幅と周期は拡大し、特に氷床が発達した氷期が長くなったことで、平均的なSSTが低下した。この傾向は全球平均表層温度のトレンドにも顕著に現れている。 また、鉛直水温復元のために亜表層に生息する浮遊性有孔虫の拾い出しを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りに過去220万年間のSST変動復元を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、堆積年代モデルの構築、SST変動の復元を行ってきた。 今後は、亜表層の水深帯に生息する浮遊性有孔虫Pulleniatina obliquiloculataなどのMg/Ca分析を行うことで、中央熱帯太平洋における鉛直水温構造の復元を行い、東西熱帯太平洋域のデータと比較を行うことで、東西非対称性の発達過程を明らかにする。
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Research Products
(2 results)