2022 Fiscal Year Research-status Report
多成分衛星観測の統合に基づく硫酸・硝酸・アンモニウム塩エアロゾル経年変動の解明
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22K12353
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
関谷 高志 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 研究員 (00781460)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エアロゾル / 大気汚染 / 気候変動 / データ同化 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、申請者がこれまで開発・利用してきたNO2を対象としたデータ同化システムを、SO2・エアロゾル光学的深さ(AOD)などのエアロゾルに関連する衛星観測も対象とし、エアロゾルおよびその前駆物質の排出量逆算が可能なシステムへと拡張した。数ヶ月の試験的計算とデータ同化に使用していない地上観測・航空機観測を比較し、データ同化システムの性能を評価した。硫酸塩・硝酸塩・アンモニウム塩(SNA)エアロゾル濃度は、東アジア・北米・域の地上観測・海洋上の航空機観測と比較して改善することが確認された。その一方で、一次有機エアロゾル、鉱物ダスト、海塩など大気に直接排出される一次エアロゾルは過大評価が悪化し、再現性には未だ課題があることが判明した。 さらに、NO2およびSO2を対象とした開発段階のデータ同化システムを用いて、新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的感染拡大に伴う社会経済活動の変化が大きい2020 年前半の期間に着目した排出量およびエアロゾル濃度の変動の解析も行った。その結果、東アジア・北米・ヨーロッパ地域では、2020年4月のロックダウンによってNOx、SO2排出量がそれぞれ19-25%、14-20%減少していたと推定された。化学輸送モデル数値計算により、これらの地域における排出量減少は、8-21%のSNAエアロゾル量減少を引き起こしたと推定された。SNAエアロゾル濃度の減少量は排出量減少量に比例しておらず、非線形な大気化学プロセスによるフィードバックを通じて非線形な応答を示すことを明らかにした。また、SNAエアロゾル減少が地球規模の放射収支に+0.14 W m-2の影響を与えうることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エアロゾル及びその前駆物質の排出量逆推定を包括的に行うデータ同化システムの開発についてはやや遅れているが、次年度に予定していた新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的感染拡大に伴う社会経済活動変化の影響解析は想定以上に進めることができたため、全体としては概ね順調な進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
エアロゾル及びその前駆物質の排出量逆推定を包括的に行うデータ同化システムの開発について、衛星観測データ前処理、数値予報モデル、データ同化スキームの再検討・最適化を進め、データ同化システムの開発を完了させる。 また、計画より順調に進めることができたCOVID-19の世界的感染拡大期間の解析結果については、早期の論文化を目指す。
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