2022 Fiscal Year Research-status Report
Effects of maternal diet on children's radiosensitivity
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22K12387
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
王 冰 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線影響研究部, グループリーダー (10300914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝部 孝則 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線影響研究部, 上席研究員 (10311375)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 放射線感受性 / 食習慣 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】胎生期は身体の発達に極めて重要な時期であり、母体の栄養状態・健康状態が胎児に影響し、その子の将来の健康や病気のリスクを決定することが報告されている。我々は、動物(マウス)の実験系(下記)を用いて、高脂肪摂取による肥満の母親から生まれた子は、放射線被ばく後に現れる影響(発がん、造血機能低下、寿命短縮など)のリスクが上昇していることを示す結果を得ている。本研究課題では、そのリスク修飾のメカニズムを検討する。 【実験系】C57BL/6Jメスマウスを2群に分け、離乳直後(生後3週)から高脂肪餌もしくは通常餌で飼育する。10週齢でC3Hオスマウス(11週齢、通常餌)と交配し、高脂肪餌母マウスの仔(高脂仔マウス)、通常餌母マウスの仔(通常仔マウス)を得る。出生後7日目に線量3.8GyのX線を照射する。生後4週まではそれぞれの母マウスからの授乳により、その後は全ての仔マウスについて通常餌により飼育する。本研究課題では、放射線照射の3時間後、48時間後、2週間後に造血組織(骨髄、脾臓、胸腺、肝臓)を採取し、造血細胞の数や分化状況、遺伝子発現を比較検討する。 【今年度成果】(1)野生型1〜3週齢のマウスを用い、各造血組織を研究グループメンバーで分担して迅速に分離する手技を確立した。メスマウス60匹、オスマウス30匹を導入し、上記の方法で、照射の3時間、48時間、2週間後の骨髄有核細胞、脾臓細胞、胸腺細胞及び肝臓細胞を採集した。本研究に必要な試料の約半数を確保した。(2)造血細胞の分化状況を解析するためのフローサイトメトリー法の実験系構築に着手した。申請した予算額に対して、交付予定額が少ないために、当初の計画のRNA Seqによる遺伝子発現解析の実施は困難な状況である。代わりに放射線感受性修飾関連候補遺伝子の発現をフローサイトメトリーで解析する予定であり準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験を行い、生後1~3週の仔マウスから各種造血細胞を分離する手技を確立した。計画に従い、高脂仔マウスと通常仔マウスを準備し、放射線照射後(および対照群)の骨髄有核細胞、脾臓細胞、胸腺細胞及び肝臓細胞サンプルを採集した。予定よりも得られた仔マウス数が少なかったが、本研究に必要な試料数の約2分の1を確保することが出来た。今後、同じ規模でのマウス生産・造血組織採取の実験を2回計画しているが、1回で必要な試料が確保できる可能性がある。計画に従い、造血細胞の分化状況を検討するフローサイトメトリーの条件検討に着手した。予算の都合で当初計画のRNA Seqによる遺伝子発現の網羅的解析は困難な状況である。しかしながら、代替措置として、フローサイトメトリー法により放射線感受性修飾関連候補遺伝子の発現(タンパク質)を解析する計画を立て、準備を開始している。本研究計画期間内に一定の成果が得られる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
1)1回目と同じ規模(メスマウス60匹とオスマウス30匹を交配)のマウス生産・造血組織採取の実験の2回目と3回目を実施することで、本研究に必要な生体試料サンプルを確保する。 2)造血細胞の数(生存細胞)や分化状況を検討するフローサイトメトリーの解析条件を確定する。試料細胞のアポトーシス(細胞死)やアポトーシス関連遺伝子発現を解析するフローサイトメトリーによる実験系を樹立する。 3)フローサイトメトリーにより試料の解析を行う。 4)解析結果を分析し、高脂仔マウスで放射線照射後のリスクが増大するメカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
物品購入の際に、複数の業者の納入価格を比較するなどして経費節約に努めた結果、当該年度直接経費の予定額1,400,000円に対して、9,274円の残額が生じた。円安の影響で試薬が値上がりしており、次年度以降の試薬等購入時の値上がり分に充当する。
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