2023 Fiscal Year Research-status Report
泡沫層存在下での大気汚染物質の高効率・低コスト除去技術の開発
Project/Area Number |
22K12433
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Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹園 恵 新潟工科大学, 工学部, 教授 (20288252)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 泡沫を利用する大気汚染物質除去装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、工場・事業所から排出されるガス中の粒子状物質とガス状物質の同時除去が実現する、泡沫を利用する湿式大気汚染物質除去装置の開発とその性能を明らかにすることである。令和5年度は、泡沫を利用する大気汚染物質除去装置の設計・操作条件を変化させて、ガス状物質の除去、すなわち液中への吸収性能を調査した。本装置は、起泡剤(界面活性剤)を含む液中に、処理ガスを吹き込むことにより泡沫層を形成させ、装置上部の消泡装置で泡沫を破壊するものである。これまでの研究で安定な泡沫層を形成する条件は明らかにしている。ガス状物質はSO2を用い、空気と混合して処理ガスとした。液は、0.1 g/L TritonX-100(非イオン性界面活性剤)水溶液を用いた。SO2の反応吸収剤はH2O2を用い、0.3%の濃度で界面活性剤水溶液に加えた。装置内の液の高さは5 cm(液量318 ml)とした。内径9 cmのカラムを用いた本装置に吹き込む処理ガスの流量は3.8 L/min(ガス速度1 cm/s)で一定とした。処理ガス中のSO2濃度は17~470 ppmの範囲で変化させた。反応吸収剤を加えた場合、すべての処理ガス中のSO2濃度条件で、SO2吸収率は99.1%以上となり、出口ガス中のSO2濃度は0.02%以下となった。反応吸収剤を加えない条件、すなわち物理吸収で、液中へのSO2吸収に対する泡沫層の効果を調査した。すべての処理ガス中のSO2濃度条件で、泡沫層が存在しない(液:水)条件よりも、泡沫層が存在する(液:界面活性剤水溶液)条件の方がSO2吸収率は高くなり、泡沫層の存在による効果を確認できた。また、泡沫層の高さを35 cmから135 cmにスケールアップしたが、SO2吸収率に大きな変化はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
泡沫を利用する本装置では、反応吸収剤を使用しなくとも、泡沫層の存在により、液中へのガス状物質の吸収効果が高まり、大気汚染物質の除去装置として本装置の有効性が確認できた。一方、泡沫層の高さを拡大した装置の設計・製作に時間がかかったため、SO2以外のガス状物質の吸収実験およびそれらの吸収効果の比較を充分に行うことができなかった。現在、その遅れを取り戻すべく、NOxの吸収実験に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進のため、詳細な研究計画を立て、研究の進行管理を行う。特に、時間を要すると考えられる、泡沫を利用する装置内の泡径および泡の液含率の測定手法の確立、ガス状物質のサンプリング・分析方法の確立などを早めに進める。また、現在までの進捗状況がやや遅れていることから、令和6年度は、これまでに製作した2台の本装置を同時に使用し、速やかなデータの蓄積に努める。
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