2022 Fiscal Year Research-status Report
Removal and recovery of selenium from the contaminated soil by activating the metabolism of the soil microorganisms
Project/Area Number |
22K12434
|
Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
黒田 真史 常葉大学, 社会環境学部, 准教授 (20511786)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | セレン / 土壌浄化 / バイオレメディエーション / バイオボラタリゼーション / レアメタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、土壌中に生息する微生物の代謝を活用してセレンを揮発化させ、土壌からセレンを除去・回収し、土壌とセレンを同時に資源として再生する技術を開発することを目的としている。本年度は、環境中のセレン代謝微生物の特性を明らかにすることを目指し、環境試料からのセレン代謝微生物の集積と分離を試みた。畑土壌および河川底質をセレン酸を含む培地に加えて、嫌気条件または静置条件にて培養し、得られた培養液を新たな培地に植え継ぐことを繰り返し、セレン代謝微生物を集積した。集積後の試料から微生物の単離を試み、河川底質を静置条件で培養したものから、3菌株が分離された。そのうち、RP3株はセレン酸を含む寒天培地上で単体セレンの生成を示す赤色のコロニーを形成したことから、RP3株はセレン代謝細菌であると推測された。続いて、嫌気条件化で、セレン酸または亜セレン酸を含むTSB培地におけるRP3株のセレン代謝を調べた。セレン酸を添加した場合、培養開始時にセレン酸として添加した水相全セレンとほぼ同じ量が144時間後に固相に検出されたことから、RP3株の代謝によってセレンは液相から固相に移行したものと考えられた。亜セレン酸を添加した場合も同様に、亜セレン酸として添加した144時間後に水相の全セレンのほぼ全量が144時間後に固相に移行した。以上より、RP3株は嫌気条件下でセレン酸および亜セレン酸を還元し、水相から固相に除去する能力を持つことが明らかとなった。さらに培養を継続すると、固相のセレンがわずかに減少したことから、RP3株はセレン揮発化能力を持つ可能性があると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セレンに汚染されていない河川の底質試料から新規セレン代謝微生物を取得し、セレンを水相から除去することを明らかにするとともに、セレン揮発化能力を持つ可能性も見出していることから、おおむね順調に進んでいると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、RP3株のセレン代謝を活性化させる培養条件を見出すことに注力して研究を進める。培地成分や通気条件、他の電子受容体の存在等がRP3株のセレン代謝に及ぼす影響について、イオンクロマトグラフによるセレン酸・亜セレン酸の分析、全有機炭素計による有機物濃度の分析、ICP-AESまたは原子吸光光度計による全セレンの分析を通じて評価する。また、並行して、新たな環境試料からセレン代謝細菌の集積・単離を進め、より活性の高いセレン代謝細菌の取得を目指す。
|
Causes of Carryover |
消耗品の消費量の関係で、わずかに残額が生じたが、ほぼ計画通りに執行している。繰り越し分は、次年度にガラス器具等の消耗品の購入に充てる。
|
Research Products
(1 results)