2022 Fiscal Year Research-status Report
「困難な歴史」としての公害経験を学習し継承する主体形成過程の研究
Project/Area Number |
22K12507
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
清水 万由子 龍谷大学, 政策学部, 准教授 (60558154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 善仁 中央大学, 文学部, 准教授 (30437181)
安藤 聡彦 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40202791)
林 美帆 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 客員研究員 (40833603)
除本 理史 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60317906)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 困難な過去 / 記憶と想起 / パブリック・ヒストリー / 公害地域再生 / アーカイブズ / 学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、「困難な歴史」としての公害経験を学習・継承する主体形成過程を明らかにし、国内外に発信することを目的とする。今年度は(1)「困難な歴史」の学習と継承の事例に関する既往研究の整理・分析、(2)倉敷市水島地区での公害経験の学習・継承を担う主体形成のアクションリサーチ、(3)大学講義での公害経験の学習プログラムの検証、を行なった。 (1)は主に戦争の経験について絵画制作や演劇などの表現活動を取り入れた学習・継承の実践事例を中心に文献を収集し、本研究課題との接続可能性を検討した。また、福島県における東日本大震災および福島原発事故による震災遺産の保存と展示に関わる取り組みに関する研究会を開催した。「困難な歴史」を教育においてどう扱うかは、教育学においても議論が緒についたばかりの挑戦的な課題であるため、アーカイブズやまちづくりの観点も取り入れて研究を進める。 (2)は水島地区での地域の歴史を様々な視点から語る地域カフェおよび「水島メモリーズ」の制作過程についての報告と議論を行なった。 (3)は大学の講義や演習等で公害地域の多面的な歴史とまちづくりの実践から学習する取り組みにを進めた。(1)を踏まえて学習プログラムの設計を行い、検証を進めた。例えば、研究代表者の担当講義では、公害発生状況において異なる立場で対応を考えるロールプレイを取り入れた授業案を作成・実施したほか、ゼミ活動で公害患者の体験を伝える映像撮影と動画構成の検討をおこなった。研究分担者のゼミでは、水島の公害についての文献学習と現地での合宿を実施し、地域住民とワークショップをおこなって、公害をふくむ地域の歴史を観光案内板として作成する取り組みに協力した。 また、日本の公害地域再生に関する英書制作に向け、環境経済・政策学会大会にて企画セッションを開催し、議論を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に終了した科研費研究課題(19K12464)の研究成果と研究過程で得られたネットワークを本研究課題に活かすことで、順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、水島地区と大学講義でのアクションリサーチの設計、実践、検証を確実に進めるために、定期的な研究会においてそれぞれのアクションリサーチの進捗を確認する。
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Causes of Carryover |
参加予定であった研究会がオンライン開催され旅費が不要になったこと、また研究会に招聘した講師が謝礼を辞退されて謝金が不要になったことなどにより、予定していた予算執行がなされなかった。次年度は分担者追加を申請中であり、必要性に応じた分担金の配分を行うこととする。
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Research Products
(33 results)