2022 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ漁民社会の互助組織に着目した資源デカップリングの実証
Project/Area Number |
22K12556
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中村 亮 福岡大学, 人文学部, 教授 (40508868)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 漁民文化 / 互助組織 / 資源デカップリング / 地域振興 / 環境保全 / タンザニア |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は8月と3月にそれぞれ3週間程度の文化人類学的フィールドワークをタンザニア南部キルワ島で実施した。調査内容はおもに、「資源デカップリング」分析の際に重要となる「女性揚げ魚商人」についてである。女性商人の人数変化や聞き取り調査、参与観察によりその実態を明らかにした。また、女性商人が多数参加する島の経済互助組織(マイクロファイナンス型と頼母子講型)についての参与観察と聞き取り調査もおこなった。 現地調査の成果をもとに、地域漁業学会第64回大会にて「タンザニア南部キルワ島の女性商人の変遷:2005~2022年にかけて」について、日本アフリカ学会第59回学術大会にて「タンザニア南部キルワ島の経済互助組織にみる地域振興と環境保全の可能性」について口頭発表した。 2020年まで右肩上がりで増加していた女性商人の人数であるが(2020年3月に68人)、2022年8月には25人に減少していた。これは女性商人のライバルである鮮魚商人がキルワ島に増え、高額で鮮魚を買い取る鮮魚商人に漁師が魚を売るようになったことが関係していた。女性商人の減少に伴い、島の経済互助組織の数も減少傾向であった。経済互助組織の運営とそれをもとにした生活改善・地域振興には、島の女性たちの参加が重要であることが明らかになった。 2023年3月には女性商人は9人増えて34人となっていた。本研究期間中は引き続き、女性商人の人数推移とその背景について調査を実施してゆく。また、キルワ島の女性中心とした経済活動についてはある程度データが蓄積されてきたので、今後は、資源利用について漁獲量の定量調査や資源管理(Beach Management Unit)の現状についてデータを収集する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスによる渡航制限も緩和され、年度内に二回の現地調査をタンザニアで実施することができた。調査地での人間関係も良好で、タンザニア国立博物館に研究協力者を得ることもできた。 研究はおおむね順調に進展しているが、2021年頃からの航空運賃(サーチャージ)の値上がりが研究費を圧迫していることが問題である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度も引き続きタンザニア南部キルワ島において文化人類学的フィールドワークを実施する。調査内容は、漁師人数と漁獲量の推移、キルワ島のBeach Management Unitの現状、女性揚げ魚商人の推移、鮮魚商人の推移、経済互助組織の推移などである。 漁獲量の定量的データは計測・観察・聞き取り調査を交えて収集する予定である。Beach Management Unitについては代表者への聞き取り調査を実施する。女性商人と経済互助組織の動向調査についても聞き取りと参与観察を交えて実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度に現地調査で使用するノートパソコンを購入する予定であったが、スペックと価格的に適切なパソコンが見当たらなかったので購入を見送った。次年度使用額を使用して2023年度にノートバソコンを購入する予定である。
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Research Products
(2 results)