2022 Fiscal Year Research-status Report
戦後広島・長崎の〈復興〉の歴史的考察――キリスト教徒の活動を中心に――
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22K12569
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Research Institution | Tama University |
Principal Investigator |
桐谷 多恵子 多摩大学, グローバルスタディーズ学部, 専任講師 (30625372)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 広島 / 原子爆弾 / キリスト教 / 復興 / 生活者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、戦後広島・長崎におけるキリスト教徒による〈復興〉活動について、歴史的に検証を行っている。キリスト教徒が被爆地で〈復興〉活動をどのように着手して実行していたのか、本研究は占領軍との関わりに着目しながら、本年度は当事者たちの証言収集と資料調査に取り組んだ。 従来の「復興」研究では、行政を主たる行為者として捉え、都市計画を中心に分析が行われてきたため、生活当事者としての被爆者の戦後史が後景に追いやられてきた傾向があった。本研究は、このような既存の「復興」研究とは異なる切り口で、被爆者自らが語る〈私たちの復興〉を軸とした〈復興〉史を描き直すことに取り組んでいる。 具体的には、広島の教会の復興に取り組んだ牧師の個人史料やご令嬢への聞き取り調査を行った。また、長崎市内でも復興に尽力した神父のご遺族から貴重な史料を一部ご寄贈いただいた。これからの聞き取り調査や資料調査から、被爆地におけるキリスト教徒の人びとが求めた救援や支援、目指した〈復興〉について調査し、分析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
広島の教会の復興に取り組んだ牧師の個人史料の調査、及びご令嬢への聞き取り調査を行うことができた。また、長崎市内でも復興に尽力した神父のご遺族から貴重な史料を一部ご寄贈いただいた。これからの聞き取り調査や史料調査から、被爆地におけるキリスト教徒の人びとが求めた救援や支援、目指した〈復興〉について調査することができたが、当初の予定に比べて、研究調査の出張へ出かけることができなかったので、計画よりやや遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き、広島の教会の復興に取り組んだ牧師の個人史料やご令嬢への聞き取り調査を行う予定である。また、広島市内の公文書館をはじめ資料調査を本格的に行う予定である。長崎においても、復興に尽力した神父のご遺族から貴重な史料を一部ご寄贈いただいたので、これを手がかりに、資料調査を深化していきたい。また、キリスト教徒の方々への聞き取り調査を積極的に行い、記録として残す作業にも取り組んでいく。資料調査、聞き取り調査をさらに進めることで、被爆地におけるキリスト教徒の人びとが目指した〈復興〉について調査し、分析を行っていく。
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Causes of Carryover |
多摩大学グローバルスタディーズ学部に新任教員として着任した最初の年であったため、授業準備はじめ、大学業務に時間が割かれ、研究活動を計画通りに進めることが困難であった。今後は、計画的に広島と長崎での史料調査や聞き取り調査を行う予定である。
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