2022 Fiscal Year Research-status Report
インドの権威主義化とポピュリスト言説:モディ首相の月例ラジオ講話の実証分析
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22K12583
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
湊 一樹 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター南アジア研究グループ, 研究員 (00450552)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ポピュリズム / ヒンドゥー至上主義 / インド |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、インドのナレンドラ・モディ首相の月例ラジオ講話の内容を整理して、データとしてまとめたうえで、主に定性的な分析を行った。その成果として、「The Language of India's Second Republic: A Study of Narendra Modi's Mann Ki Baat」と題する論文を執筆した。この論文は、月例ラジオ講話の内容をもとに、モディ首相の政治言説の特徴を明らかにすることを目的としている。具体的には、モディ首相の政治言説には、ポピュリズムの特徴が確かにみられるが、その一方で、ヒンドゥー至上主義的な思考が目立たないような形で月例ラジオ講話のなかに盛り込まれていることを指摘した。月例ラジオ講話について分析を行った関連研究では、前者の特徴に焦点が当てられていたが、モディ首相の政治言説を理解するうえで、それでは十分ではないことが明らかになった。後者の特徴については、ヒンドゥー至上主義の考え方に沿った歴史修正主義、国民会議派やイスラム教徒に対する敵視、権利の否定と義務の強調などが、これまでの月例ラジオ講話のなかで、目立たないような形で巧みに暗示されていることがわかった。 また、この論文の内容に基づいて、2022年10月に龍谷大学で行われた日本政治学会で研究報告を行い、参加者から様々なコメントを得た。本論文を収録予定の英文編著の編者からも、有益なコメントを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、インドに現地調査に行くことができなかったが、それ以外の点では比較的順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
モディ首相の月例ラジオ講話の放送は現在も続いているため、内容の読み込みとデータの収集・整理は引き続き行っていく。また、2023年度は、インドで現地調査を行い、関係者にインタビューを行いたいと考えている。 「The Language of India's Second Republic: A Study of Narendra Modi's Mann Ki Baat」は英文の編著の一章となる予定であるため、出版に向けて、編者のコメントを踏まえて修正する予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度は、インドへの現地調査を行わなかったため。2023年度は、2度の現地調査を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)