2022 Fiscal Year Research-status Report
地域間産業連関分析による離島振興に向けた経済構造の解明
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22K12594
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
吉本 諭 長崎県立大学, 地域創造学部, 教授 (50711107)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 地域間産業連関分析 / 離島振興 / 経済構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国には多くの離島が存在し、本土との交流・交易を通じて離島経済が成立している。離島振興法、地方創生政策、2017年4月には国境離島新法が施行され、離島振興が図られているが、人口減少は進み、離島の地域社会の維持は喫緊の課題となっている。本研究は、有人離島が全国で最も多い長崎県を対象として、離島と本土との相互依存関係を明示した長崎県地域間産業連関表を作成・分析し、離島と本土との相互依存関係にある経済構造を解明することをとおして、地方創生時代における離島振興方策について考察することを目的としている。 研究1年目の当該年度(2022年度)は、作成を予定している長崎県地域間産業連関表を念頭に、長崎県産業連関表、長崎県民経済計算、長崎県市町民経済計算、経済センサス等をもとに、主として長崎県及び長崎県内21市町を離島(5市町)と本土(16市町)に分け基本データの整理・分析を行った。 人口については、2010年から2020年にかけて、長崎県全体で142万6千人から131万2千人へと11万4千人(8.0%)の減少であり、この間、離島は12万9千人から10万7千人へと2万1千人(16.8%)の減少、本土は129万7千人から120万4千人へと9万2千人(7.1%)の減少となっており、本土と比較して離島において人口減少の進展が確認できた。 総生産(名目値)については、2011年から2019年にかけて、長崎県全体で4兆3千億円から4兆7千億円へと3千9百億円(8.9%)の増加であり、この間、離島は1.5%の増加、本土は9.5%の増加となっており、本土と比較して離島において経済の停滞状況が確認できた。 以上のような基本データの整理・分析による現状認識を踏まえた上で、作成を予定している長崎県地域間産業連関表のために必要な地域内産業連関表(長崎県内市町の産業連関表)の作成にあたり、生産額の推計を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の進捗状況になった理由は、基本データの整理・分析に時間を要したこと、他業務との関係で研究時間の確保が難しかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目の2023年度は、研究1年目に予定してた地域内産業連関表(長崎県内市町の産業連関表)の作成を行いたい。加えて、研究2年目に予定している長崎県地域間産業連関表の作成に必要な離島と本土との地域間交易係数の推計を進めたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の中、出張を控えたため、主に旅費について研究実施計画に基づく経費の支出ができず次年度使用額が生じた。今年度は、研究実施計画に基づき計画的な経費の支出に努めたい。
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