2022 Fiscal Year Research-status Report
福祉の現場におけるデジタルファブリケーションの活用に関する研究
Project/Area Number |
22K12702
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
冨本 浩一郎 山口大学, 国際総合科学部, 講師 (80763177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 康平 長岡造形大学, 造形研究科, 准教授 (80869660)
伊藤 慎一郎 京都産業大学, 情報理工学部, 准教授 (60826098)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | デジタルファブリケーション / 福祉施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「福祉施設におけるDF(デジタルファブリケーション)の主体的活用について、ユーザーとテクノロジーの接点から課題を明らかにし、福祉の現場への技術導入のハードルを下げる要件について検討すること」を目的としている。 2022年度は「ユーザー視点によるDFの機能や効果の明確化・動機付けの要素・導入の障壁とその対応」を明らかにすることを目的に、 研究分担者と共に、国内でデジタル工作機械を実践的に活用している福祉施設を対象に、DFの「道具」「場」「支援」の3つの観点から利用実態を把握するためのアンケート調査および訪問調査を実施した。訪問調査では、事前に実施したアンケート調査結果に基づき、対象施設でのDF利用当事者の活用の実例や現場の観察、施設担当者へのインタビュー調査を行った。 その結果、障がいのある人が利用する4つの福祉施設から、上記3つの視点におけるDF活用実態と課題について情報収集することができた。特に次年度の調査につながる重要な視点として、DFを活用する施設側の具体的なステークホルダーを明らかにすることができた。これによってそれぞれの福祉施設におけるDF利用に関するステークホルダーの特徴や関わりを基に、よりよいDFの活用のあり方を導き出すポイントになると考えられる。 一方で福祉施設の理念や活動は多様であることから、1年目の調査で対象としたタイプ以外の施設への調査を継続して実施し、具体的な課題を視覚化するためのステークホルダーマップを作成予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目となる2022年度は、国内のDF活用実績のある福祉施設を対象に、4つの施設に対して調査を実施できた。得られた知見をもとに2023年度も引き続き1年目で得た知見を踏まえ、継続して調査実施予定である。 一方、コロナウイルス感染のリスクを懸念したため、対面調査である施設訪問をできるだけ控えたことの影響や分析に時間を要したことを含め、予定調査数が達成できていないため、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる2023年度は、DFの「テクノロジーの機能的側面とその可能性の視点」について、研究分担者と共に、国内のファブ施設における福祉的なものづくりに関する実態把握を行う予定である。また、コロナ禍が落ち着いたことにより、1年目よりも対面で調査可能になることが考えられるため、フィールド調査可能な対象者が増えることが予想される。それも踏まえ、1年目の調査で得られた知見に基づいた追加調査や、未実施分の調査を継続的に実施する。 3年目に計画している海外ファブ施設の視察について、近年の燃油価格高騰による旅費の高騰によって見直しが必要となる可能性があり、それについてはオンラインインタビューなどを含め、可能な範囲で実行することとする。
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Causes of Carryover |
2022年度未実施分の調査のための旅費が残っている。この残額は、1年目の調査で新たに必要性が生じた物品や調査謝金に充てることを予定している。また、継続して調査を実施予定であるが、2年目に計上している旅費と合わせ、同日程での複数箇所の調査実施や研究分担者との役割分担の調整によって予算を使用することを計画している。旅費に不足が生じた場合は、3年目に予定している海外のファブ施設視察分の予算計画の見直しを含め、効率よく予算を使用する計画である。
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