2023 Fiscal Year Research-status Report
中国殷周金文のデジタルテキスト作成に関する基礎的研究
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22K12738
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山田 崇仁 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (20425010)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 漢字 / 中国古文字 / 金文 / 甲骨文 / 竹簡文字 / 外字 / Unicode / 情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目は、外字の入力作業が更に進んだことを踏まえ、その整理と具体的にどのようにデジタルテキストに落とし込むのかについて検討を行った。 外字作成作業は、昨年度に引き続きグリフウィキを利用して行った。昨年度の課題として、「作字した文字を学術的にどのように扱うか(典拠情報の提供など)」という新たな問題を提示したが、本年度はこれについての初歩的な検討も行い、Wiki形式のデータベースでの公開による共有化、もしくはTEIを利用した青銅器銘文個別単位でデータを入力し、異なる字説(+外字情報)は、書籍の校勘情報のスタイルを流用して表示できないかと考えている。現在のところ、前者は情報の保存と持続性に関して積極的な利点を見いだせず、テキストデータのみで作られる利点に注目し、まずは後者を対象として試案を提示する試みを行う予定である。 2024年度の研究でも、外字の登録と整理の課題に取り組み、現時点での問題解決方法を提示したいと考えている。 また、典拠情報の整理のために、著録データベースを作成している。これは、大規模著録所(『殷周金文集成』・『商周青銅器銘文曁圖像集成』)の整理番号を対照表形式データとして入力作業を進めている。今年度に終了する予定が思いのほか作業が長引いたので、2024年度にも引き続き作業を行う予定である。この両書は、現在銘文付き青銅器のID番号のような形で利用されている、学会標準の大規模著録所であるが、管見の限りにおいて2022年度の段階でも簡便な一覧対照表・データベースなどがなかったので、当初研究計画に基づき作業を実施することになった。 最終年度の次年度は、これまでの課題とその検討・解決方法を総合し、研究のまとめを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、外字処理に関するデータ構築作業の進捗は順調である。昨年度の問題とした、グリフウィキでの既存字検索の問題は解決されていないが、こちらも昨年度の報告に述べた「重複をあえていとわない姿勢」で作業を効率よく進めている。 これらの作業の結果、隷定(楷書化)された古文字の外字を登録する作業こと自体には、特に問題がないことが確認された。 昨年度の問題となった外字の紐付け問題だが、他人の作成した外字が自分の意図するモノと同一か否かを確認するシステム(典拠表示)がグリフウィキには実装されていない。そのため、昨年度には別途外字データを管理するデータベースの作成について検討する旨記した。今年度、Wiki形式による個別外字管理と、Text Encoding Initiative:TEIによる、タグ付き銘文テキストデータへの複数の外字情報付与(書籍の校勘情報用のタグ群を利用して記述)という二つの方法を検討した。その結果、前者はデータの長期的な保存・公開の問題についてなお検討を要したため、次年度は後者の方法について検討を進めることにした。
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Strategy for Future Research Activity |
外字処理に関するデータ構築作業の基礎は一昨年より概ね予定通り達成できている。Word上での利用はもとより、学術雑誌での利用・印刷も問題なくできているため、この方針で進める予定に変更はない。 また、既存の金文著録書データの整理も、今年度より作業従事者に依頼してデータ登録作業を進めており、次年度で完成する予定である。 更に、2024年度には、昨年度の文字配置と外字管理に関する検討を踏まえ、Text Encoding Initiative:TEI形式によって、青銅器銘文をどのように記述可能かに関する検討を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響もあり(研究代表者も下半期に罹患した)、一時研究遂行が止まった時期があり、研究費の利用が年度末に重なる部分が多く、結果として次年度に持ち越すことになった。次年度では、研究遂行を迅速化するために、早めにアルバイト雇用を行い、昨年度内に予定していた作業の一部を行ってもらう予定である。
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Remarks |
グリフウィキで作成した外字の一部を公開している。
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