2022 Fiscal Year Research-status Report
セラピードッグの活動にかかるストレス評価指標の確立
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22K12943
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
島村 俊介 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 准教授 (10445190)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 動物介在活動 / ストレス指標 / 心拍変動解析 / 犬 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物との触れ合いは、ヒトに生理的、心理的、社会的に肯定的な効果を持つことが知られて おり、その効用はアニマル・セラピーとして広く活用されている。しかし、活動の安全面、 あるいは動物福祉の面から参加動物への負担が懸念されているものの、セラピー中の動物のストレスを適切に評価する方法がないのが現状である。本研究課題では、未だ確立されていないセラピーに参加するイヌのストレス評価指標として、心拍変動解析による自律神経活動指標の有効性を科学的に明らかにすることを目的とした。本年度は、研究対象となるこうべ動物共生センターでのアニマル・セラピーの一つであるR.E.A.Dプログラムに参加するイヌからサンプル収集を行うプロトコルを確立した。その上で、複数回参加個体のR.E.A.D参加前のストレス指標の推移を比較することで、イヌのプログラム実施環境への馴化による影響を検討した。いずれのストレス指標(自律神経活動指標、生理学的指標および行動指標)においても参加回数に依存的な変動はみられず、プログラムに参加するイヌのプログラム実施環境への馴化過程は観察されなかった。今回の結果は、R.E.A.Dプログラムの実施環境による新奇環境ストレスがイヌに影響を与えるという当初の予想に反するものであったが、当該センターにおけるR.E.A.Dプログラムには、動物行動治療の専門家による訓練と適性判断を受け、過去に他の動物介在活動への参加経験のあるイヌが参加していたため、新奇環境ストレスの影響が緩和されたと考えられた。これらの結果から、R.E.A.Dプログラムに参加するイヌのデータを集積・解析する準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は実際に行われているR.E.A.Dプログラムに参加しているイヌからサンプル収集を実施する。参加者やイヌへの介入を最小化し、セラピー活動に支障なくサンプル収集を行うプロトコルを確立できた。R.E.A.Dプログラムの実施環境によるストレスの影響についても検証を行い、今後データ集積を行う準備を整えることができた。 一方で、R.E.A.Dプログラム参加イヌのストレス基準設定として、ストレス負荷試験を行う予定であったが、コロナ対策として接触機会を必要最小限とするために延期とした。今後、状況に応じて実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、こうべ動物共生センターでのR.E.A.Dプログラムに参加するイヌからのデータ収集を継続し、並行して解析を進めていく予定である。上記のとおり、参加イヌのストレス基準設定も状況に応じて実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍による影響により、こうべ動物共生センターでのR.E.A.Dプログラムが2回見送られた。そのため、交通費や郵送費などに余剰が生じた。当該助成金は、次年度に実施する予定のR.E.A.Dプログラム参加イヌのストレス基準設定のための交通費や郵送費にしようする予定である。
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