2022 Fiscal Year Research-status Report
昭和初期文壇における「唯物論」受容の多面性に関する総合的研究
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22K13031
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
加藤 夢三 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (90906207)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 唯物論 / マルクス主義 / 横光利一 / 探偵小説 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、1回の個人発表と、1本の査読論文を出版した。 個人発表は、昭和文学会2022年度秋季大会(於:法政大学)の特集企画「発明と文学」に登壇したもので、題目は「誘惑する発明家――海野十三の探偵/科学/軍事小説」である。論旨は、戦前の作家である海野十三が、同時代の探偵/科学/軍事小説という複数の文芸ジャンルを越境するかたちで文筆活動を展開していたことの意味を問うたものである。 査読論文は、『国語と国文学』第100巻1号に掲載されたもので、題目は「マルクスの誤読――福本和夫・三木清・横光利一」である。論旨は、昭和初期論壇/文壇におけるマルクス主義思想の影響関係について、福本・三木・横光という3人の人文系知識人たちの文業の系譜を辿りなおしたものである。 個人発表の内容は、学術論文にまとめたうえ、学会誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個人発表1回、査読論文1本を出版することができ、適切な研究成果が出ていると自負している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、少し時代を遡り、一九二〇年代初頭の「唯物論」を検討する。特に、賀川豊彦や石原純、新感覚派の書き手たちなど、アインシュタインの特殊/一般相対性理論を、言論空間で盛んに取り上げた論客たちの仕事を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
2022度は、新型コロナ禍の影響もあり、思うように資料調査ができなかったため、2023年度は精力的な資料調査を行ないたい。 具体的には、京都大学に所蔵されている西田幾多郎文庫を調査することで、京都学派と呼ばれる戦間期日本の思潮動向に、同時代の「唯物論」がどのような関わりを見せていたのかを、より実証的な見地から考察できればと思う。
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Research Products
(2 results)